煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
こんなこと今さら誰かに相談もできな…
あ。
…いる。
相談できそうな人、いるな。
あの人ならちゃんと聞いてくれるかもしれない。
あわよくばアドバイスなんかもくれるかもしれない。
男同士の、愛しかた…
ふいに、生まれたままの状態でベッドに横たわる雅紀の姿が脳裏を過ぎった。
シーツを握りしめて、誘うような潤んだ瞳と、
ふっくらした唇と…
「あの…課長、なにニヤけてるんですか?」
側に立っていた部下の言葉に慌てて我にかえる。
「っ、いや…なんでもない。
えっと、何だっけ」
「これ、今月の収支報告です。
よろしくお願いします」
「あぁ、うん、ありがとう」
訝しげに一礼する部下に無理やり笑顔を張り付ける。
あっぶね…
俺、どんな顔してたんだろ。
報告書を眺めながら肘をついて両頬を撫でていると、傍らのスマホが小さく震えた。
チラリ視線を遣れば画面には雅紀からのLINE。
すぐに手に取りスワイプすると。
『翔ちゃんお疲れさま〜^o^
夕方の商談が延期になったから、
今日は俺も病院行きたいんだけどいい?
何時に終わる〜?』
その可愛らしいメッセージにまた頬が緩んでくる。
今日、雅紀早く終わるんだ。
じゃあいつもより一緒にいられるな…
込み上げてくる嬉しさに耐えられず含み笑いながら画面を見ていると、また部下に怪訝な顔で見られてしまった。
やっべ…!
完全にニヤついてんのバレた…
大げさに咳払いをしつつ、側を通り過ぎる部下の視線を気にしながら画面に指を滑らせていそいそと返信した。