煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
お互いが大事で大切な存在なんだって心で想い合ってれば、体の繋がりがなくったって…
繋がりが…
なくったって…
"挿れるか受けるか決めなきゃね"
ふっと脳裏をよぎる大野先生のその言葉を慌てて頭を振って逃す。
あっぶね…
またループに巻き込まれるとこだった…!
「…翔ちゃん眠い?寝てていいよ?」
運転席の雅紀が正面を向いたまま優しい声色で問いかけてくる。
「あ…ううん、大丈夫。ごめん」
「そう?」
ふふっと笑って、またチラリとルームミラーを見遣る。
つられて後ろを振り返ると、いつの間にか二人とも寝息を立てていた。
DSを持ったまま寄り添うように口を開けてすやすやと眠っていて。
そんな様子にまた自然と笑みがこぼれ体を向き直ろうとすると、雅紀がふいに俺の右手を握った。
反射的に目を上げれば、近い距離にあるその横顔は耳まで赤く染まっている。
「なんか…幸せだね」
ちらっと視線を寄越して照れ笑いながらそう言った。
不意打ちになにも言えずにただ見つめていると、握られた右手は雅紀の太ももにそっと置かれて。
「…こうしてていい?」
静かに呟かれて、こくりと頷くことしかできず。
お互い赤い顔で時々目が合うと照れ笑いを浮かべながら、幸せムードを充満させた車で家路へと向かった。