煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
まだ火照ってる頭と体のまま、ソファの背凭れに首を預けてふぅっと息を吐く。
いやぁ…正直潤にはびっくりした。
まさかかず君に恋心を抱いてるなんて。
兄弟みたいに仲が良いのは前からだったけど…
それが恋に発展してしまったってわけか。
まぁ分からなくもないけど…
親と言えども、今の俺がとやかく言える立場じゃないしな。
目を瞑ってそんなことを考えていると、ふいに左頰に冷たいモノが当たった。
「…うおっ!」
驚いて目を開ければ、かず君がカップアイスを持って口元を手で隠しながらふふふっと笑っている。
「かず、潤君にもあげなよー?」
首にかけたタオルで髪をごしごし拭きながら、雅紀がキッチンから出てきた。
「パパ、はい」
アイスをぽんと俺のお腹に置くと、寝転んでDSをしている潤に走り寄っていくかず君。
またパパって呼んでくれた…
かず君の笑顔と"パパ"という響きに、また目頭が熱くなってくる。
いかんいかん、涙腺緩んでるわ…。
目を擦りながら雅紀の座るダイニングテーブルに向かう。
「ふふ、なに?どしたの?」
「いや、かず君がさ…」
赤い目の俺を雅紀が笑いながら覗き込む。
すると、ふと思い出したように顔を赤くして目を伏せた。
「…あ、さっきごめん、開けちゃって…」
急に声が小さくなり、下を向いてアイスのスプーンを口に運びだした。
さっき…
…あ。
「あ、いやっ…全然っ!
逆にごめんっていうか…」
ガタッと椅子を引いて向かいに座り、アイスの蓋をぺりっと静かに開けて。
しばらく沈黙のまま、お互いにひたすらスプーンを口に運ぶ。