煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
「いつの間にそんな成長したんだろって…。
なんだろ…なんかすごい嬉しいんだよね」
こちらに振り向いて笑う雅紀の目には、うっすらと涙が浮かんでいて。
「…あ〜ダメだ、最近涙腺弱くなっちゃって」
そう照れたように笑うと、首にかけたタオルで目を覆う。
そんな雅紀を見て、俺もつられて笑みをこぼした。
潤とかず君の間には、もうすでに絆ができてるんだろう。
清らかで混じり気もなく、それでいて強く結ばれている。
お互いのことを大切に想ってて、
それは恋にも似た感情で…
やや…
うちの潤の方がそっち寄りな気もするけど。
「ほんと親子って似るよな…」
頬を緩ませながら少し溶けかかったアイスを一口運んで、まだ目をごしごし擦っている雅紀に呟く。
「…え?」
「いや…人に惹かれる感覚とか似てんだろうなって」
「……」
「かず君、雅紀に似て優しくて気遣いもできるしさ」
子どもたちの方に視線を遣ると、ちょうどかず君が潤のパジャマの胸元に溢れたアイスをティッシュで拭いてくれていた。
「潤の初恋が…
かず君で良かったよ」
そう言って微笑むと、一瞬目を見張った雅紀の目元にいつもの笑い皺ができた。
「ふふっ…けど潤も相談してたとはなぁ、」
「…え?翔ちゃんなんか相談したの?先生に」
「え?」
「…?」
聞き返してしまった俺に、雅紀はきょとんとした顔でこちらを見つめる。
あ、やべ…
「…いや?してないよ、なんも」
「え〜なに〜?なんか怪しい」
笑いながら訝しげな視線を送ってくる雅紀に耐え切れず、食べ終えたアイスのカップを持ってキッチンへ逃げた。
いやいや…
あんなこと言えるわけないだろっ…!