煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
時計の針が21時を過ぎて、子どもたちはそろそろおネムの時間。
ダイニングテーブルで軽く晩酌していた俺たちは、やけに静かになった子どもたちに気付いて。
こちらからは背面になっているソファにゆっくり歩み寄って覗き込むと…
ソファの一面に散らばった大きめのピースのパズル。
正座して真剣な顔で、その小さな手で当てはめている二人。
集中しているのか、こちらに気づく様子もなく黙ってパズルを手にとっている。
そんなとこでやって…
出来上がったやつどうすんだろ。
「…潤、かず君、」
含み笑いながらぼそっと上から問いかけると、二人ともびくっと肩を揺らして同時に見上げた。
「…も〜パパ!びっくりしたあ!」
「…びっくりしたぁ」
潤が照れ笑いながら大げさに言う横で、かず君はパズルを持ってほんとにびっくりしたような顔で固まっていた。
そんな顔が雅紀にそっくりで思わず吹き出す。
「…あ、ごめんごめん。
ほら、もうそろそろ寝ようか?」
壁掛け時計を指差しながらそう言うと、途端に不満そうな顔で見つめられた。
さっきからリアクションが全く同じな二人に、ほんとに兄弟みたいだなと一人ほくそ笑む。
「えーまだやりたい…」
「ぼくもやりたい」
仔犬と仔鹿のような目でじっと見つめられて思わずたじろいでしまう。
そ、そんな目で見るなよ…
「ほーら、二人とも!もう寝るよー」
すると後ろから雅紀が来て、ソファの背面に両手をつきながら子どもたちを促した。
「やだーまだねむくない」
かず君が口を尖らせて雅紀に抗議している。
「だーめ。もう寝る時間」
「おとーは?おとーたちもねるの?」
「え?父ちゃんたちはまだ寝ないよ」
「えーなんで?ずるいー!」
キャンキャンとまさに仔犬のようにソファに登ってきては雅紀に詰め寄る。