煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
いまだ泣きじゃくるかず君を抱えた雅紀と顔を見合わせてふふっと笑う。
「っ、おとー…」
ふいに、かず君が雅紀の肩口で嗚咽の合間に呟いた。
「…ん?」
「ぅっく…おとーとっ…ねる、」
「え?」
「ぼくっ…おとーと、ねたいっ…」
首が締まりそうなくらい強くしがみつかれた雅紀が、ぽかんとした顔で小刻みに震えるかず君を見つめる。
そっか…
この子たち、いつも一人で寝てんだもんな。
ほんとはいつだって甘えたいのを我慢してんだよな…
さっきのかず君は、そんな気持ちを精一杯雅紀に伝えたかったんだろう。
潤も…
かず君と同じように寂しい思いをしてるはず…。
「…雅紀」
呼びかけに顔を上げた雅紀の目は少し潤んでいて。
「…俺らも寝よっか」
静かにそう言うと、きらきらと潤んだ目を細めて頷く。
「潤も、パパと寝るか?」
目下で大人しく抱きついている潤にも問いかけると、ゆっくりと見上げてこくんと頷いた。
ふふっと笑みをこぼしながら潤を降ろす。
「…さて、じゃあ片付けますか」
ほら、と潤をソファへ促すと、雅紀もかず君を降ろしてそのぐちゃぐちゃな顔をごしごしっと首のタオルで拭いた。
鼻水をすすりながら急いでパズルを片付けていくかず君。
潤も、床に落ちたピースをせっせと拾い集めている。
そんな二人の様子にまた顔が綻んで、雅紀と笑い合いながらテーブルの片付けを始めた。