煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
洗面所でみんなで歯を磨いて、順番にトイレに行って。
潤とかず君のパジャマをズボンにしっかりインして、準備完了。
ぞろぞろとリビングの廊下を歩き、向かい合うそれぞれの自室の前で"おやすみ"と交わして部屋に入った。
ベッドに入り横になって肘をつくと、潤が嬉しそうに体をぴったりくっつけて胸元に収まってくる。
右手で潤の小さな頭を撫でながら、じんわりと幸せが込み上げてきて。
そういえば、こうして潤と一緒に寝るのなんて俺にとっても久しぶりなことで。
病院にはしょっちゅう行ってるから潤の顔はよく見てるつもりだけど、改めてこんなに近くに温もりを感じるとなんだか懐かしい感覚が蘇る。
それにしても…
今日はいろんなことがあったなぁ…。
家族四人でご飯を食べたり、潤と風呂に入ったり。
…あ、衝撃の事実も知っちゃったしな。
それから、かず君から初めてパパって呼ばれたり。
雅紀と二人の生活の時にはそれほど感じなかった
"家族"っていうもの。
今日、俺の中に確かな実感としてもたらしてくれたのは紛れもない子どもたちで。
うつらうつらしながら胸元でもぞもぞと身動ぐ潤を見遣る。
潤とかず君のおかげで雅紀とも出会えたし、こうして家族になれたんだ。
…ありがとな、潤。
頭を行き来していた手を頬に移して少し赤いそこをひと撫ですると、感触にぼんやりとこちらを見上げる。
「…おやすみ」
微笑みながらそう言ってベッドライトを消そうと上体を起こした時、コンコンとドアをノックする音がした。
そして、ドアの向こうから小さな呼びかけが届く。
「…翔ちゃん、」