煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
え、雅紀…?
そっとベッドを降りようとすると、微睡んだ潤がしがみついてきたからそのままの体勢で答える。
「どした?入って」
少しの間のあと、カチャっと開いたドアから雅紀が遠慮がちに顔を覗かせた。
「ごめん翔ちゃん、かずが…」
申し訳なさそうにそう言う雅紀は、心なしか顔が赤いような気がした。
「翔ちゃんと潤君とも、一緒に寝たいって…」
雅紀の言葉のあと、少し開いたドアからかず君が口を尖らせて入ってきて。
「パパ…いっしょにねたい…」
さっき号泣した余韻か、目元を赤くしたかず君が俺を見つめながらぽつりと呟く。
一緒にって…
四人で寝るってこと…?
はっとして雅紀を見ると、変わらず赤い顔で窺うような視線を送っていた。
雅紀と…
一緒に寝るとか…
大丈夫なのか俺!
っていやいや…子どもたちもいるし。
さすがにそんな気分には…
「…パパ、いい?」
いつの間にか近くに来ていたかず君が不安そうに眉を下げて覗き込んでくる。
うっ、出たっ…仔犬の瞳…
「あっ、うん…いいよ、おいで」
笑顔を張り付けてそう言うと、ぱっと顔を明るくしてドアに半身隠れている雅紀のもとへ駆けて行く。
「おとーはやくっ!」
たじろぐ雅紀の右手を引っ張ると、嬉しそうにこちらへ戻ってくるかず君。
そしていそいそとベッドに潜り込んで、空いたスペースをぽんぽんっと叩いて雅紀を促した。
「おとー、ここー」
歩み寄ってきた雅紀は言われるがままにベッドへと入ってくる。
「…おじゃまします」
同時にギシッと左側が沈むと、急に心臓が早まり出してしまった。