煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
潤とかず君を真ん中に挟み、両サイドに俺と雅紀。
セミダブルに子ども二人と大人の男二人は、いくらなんでも狭すぎる。
すぐ横に雅紀の体温を感じそうな距離で、さっきのように横を向いてなんていられない。
お互い固まるように仰向けの状態でいる。
「あったかいねー」
かず君がふふふっと笑って無邪気にそんなことを言う。
「ねーじゅんくん…ねちゃった?」
かず君が潤の方を向いて呼びかける。
ちらっと潤を見ると、俺にしがみついて真っ赤な顔でぎゅっと目を瞑っていた。
あー…
そうだな、お前もヤバいよな…
「…かず、潤君もう寝てるから静かにしてな」
思いの外近くに聞こえた雅紀の声に、体の左半分が一瞬で熱くなったような気がする。
やば…
潤にバレる…
「…おとー、おねつある?あついよ?」
ふいのかず君の声にちらり目を遣ると、雅紀の首元をぺたぺた触りながら心配そうな声色で問いかけている。
その顔はベッドライトのオレンジ色も手伝ってか、ほのかに赤みがかっていた。
あ、雅紀も…
「っ、大丈夫だから…ほら、もう寝よ?」
もぞもぞっと布団が動いたと思ったら、どうやら雅紀がこちらを向いたようで。
顔を少しだけ動かして横目で確認すると、右腕を枕にして目をぎゅっと瞑った雅紀がすぐ近くにいて。
左手はかず君を抱きかかえるようにして、その手は布団を握りしめている。
って、近っ…!!
いや待て、落ち着けよ…俺。
子どもたちがいるんだから…!
「おとー…おやすみなさい」
くぐもった声のかず君が雅紀の胸元で身動ぐ。
「パパ、じゅんくん、おやすみなさい」
くるっと頭を向けて小声でそう言うと、また雅紀に向き直ってぎゅっと抱きついた。
「うん…おやすみ」
そんなかず君の姿に思わず可愛いななんて思いながら小声で返すと、それを機に今まで動いていた空気が静かに止まった。