煩悩ラプソディ
第14章 恋も二度目なら/SA
ぼんやり灯るオレンジ色と、見慣れた天井。
やがて胸元から規則正しい寝息が聞こえてきて、潤も眠りに落ちたことを知らせる。
どれだけの時間が経ったんだろう。
隣の雅紀からも小さな寝息が聞こえていて、それに比べて未だ眠れる気配のない俺は天井をただひたすら見つめ続けるしかなかった。
ほんと…どうしようもねぇな、俺。
好きな人が横にいるだけでこんなにどきどきして眠れないなんて…
女子中学生じゃあるまいし。
いや、イマドキの女子の方がよっぽど強いハート持ってるわ。
はぁっと吐いてしまいたいため息を飲み込んで、せめて眠くなる環境にでもしようと腕を伸ばしてベッドライトを消した。
しばらくすると暗闇に目が慣れてきて、またうっすらと視界に天井が映り出す。
相変わらず気持ち良さそうな寝息を立てる隣の雅紀。
俺だけ眠れないなんて、なんか納得がいかない。
そうだ、この際思う存分寝顔でも見てやろう。
そんな御託を並べつつ、暗闇に後押しされて思い切って体を雅紀の方に向けてみると。
思わず息が止まりそうになった。
思ったより近くにあった雅紀の顔。
閉じられた先の睫毛の長さ。
きれいに通った鼻筋。
緩く閉じた形の良い唇。
それは、暗闇の中でも分かるほど整っていて。
少し落ち着きかけていた心臓がまたうるさく鳴り出した。
あと少しで吐息がかかろうかという程の距離。
こんなに近くで、しかもこんなにじっくりと雅紀の顔を見るのは初めてで。
ずっと見つめていたいけど、これ以上雅紀の顔を見てたら抑えられなくなりそうで、また体を仰向けに戻した。
あぁ…ヤバい。
寝るどころか…冴えまくってる。