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煩悩ラプソディ

第14章 恋も二度目なら/SA






静まり返った廊下に一人取り残され、固まったままどうすることもできず。


上がりかけた体温と、ふいの僅かな感触と。
ジンジンと疼く熱もぜんぶ中途半端で…



これ…どうしてくれんの、雅紀…



やりきれなさにはぁっと盛大にため息を吐くと、潤がドアの隙間から顔を覗かせた。



「パパぁ…どうしたの?」



眠そうに目をしぱしぱさせながら見上げてくるその瞳に、また小さくはぁっと溢してから潤の手を引いてベッドへ向かった。



案の定眠ることなどできず、小さく上下する体を胸元で感じながら気持ちよさそうな寝息をまた聞くハメに。


ぼんやりオレンジに浮かぶ天井を見つめつつ、こんな状態の自分になんだか笑いが込み上げてきて。



こりゃ…
大野先生のアドバイスどころの問題じゃないな、俺たち…。



二度目の恋が教えてくれたものは、どこか懐かしくてくすぐったくて。
なんとも言えない、しあわせな感覚。



こうして"家族"と"恋人"の狭間でちょっとずつ進んでいくのも悪くないか、なんて。



一人心の中で呟きながら、ふっと口元を緩ませてゆっくり目を閉じてみた。



すると、すかさず脳裏に浮かんでくるのはさっきの不意打ちのキス…



どくんと体の奥が疼くと同時に、パッと目を開けざるを得なくて…。



もうほんっと…
どうしてくれんだ、雅紀っ!




そんな俺たちが、中学生日記のような日々からようやく抜け出せる日が来るのは…



まだまだ、先のお話。




end

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