煩悩ラプソディ
第15章 或いはそんな休日/AN
首を締めそうな勢いの優太にたじろぎながらも、目が合ってジッと見つめられる。
せっかくの休みに外に出るなんてありえない、と顔に書いてあるかのようにじっとりと無言の圧力をかけてくる。
…や、委ねたのはそっちだからな!?
みんなに煽られた部分も(かなり)あったけど、結局最後はなんだかんだで受け入れてくれるのがにので。
プライベートでにのと出かけるなんていつ振りだろう。
他のメンバーとも、プライベートで会うことなんて最近ではほとんどなくて。
こんな違和感丸出しなシチュエーションを味わうことになるなんて…
なんだろ、なんか…
小っ恥ずかしいというかなんというか…。
まるで、優太が俺たちの仲を取り持ってくれてるような気さえしてくる。
うん…
たまにはこんなのもいいかも、なんて。
「…ねぇ、なに笑ってんのよ」
ボソッと呟いたにのの言葉に我にかえる。
「たまにはこんなのもいいなみたいな顔してるけど」
「えっ?」
「で?何時にどこ行けばいいわけ?」
優太を膝に乗せたままぶっきらぼうにそう言うにのは、どこか嬉しそうな表情をしていて。
なんだ…にのも同じこと思ってたんじゃん。
こんなにのの態度は毎度のことだけど、多分お互いにしか分からない疎通し合えてる瞬間っていうのがあって。
にのの言葉や仕草からそれを感じ取ることができるのが、意味もなく嬉しかったりするんだよな。
「優太、明日遊園地行こうなー?」
「うん!まぁくんありがとー!」
またニヤけそうな顔を抑えてにのの隣に座って優太に問いかけると、喜びの声を上げながら今度は俺に抱きついてきた。
いきなり飛び込んできた優太に驚きつつ、はしゃぐその肩越しに笑いながらこちらを見るにのを視界に捉えてから、目を閉じて頭の中でイメージを思い描く。
明日は三人で遊園地かぁ…
ふふ、楽しみだなー…。
考えただけで疲れそうな一日だけど、同時に計り知れないくらい楽しいことも待っていそうな気がする。
頭の中でグルグルと目まぐるしく湧き起こるイメージに、そのまま優太の重みごとどっぷり浸るような感覚に陥った。