煩悩ラプソディ
第15章 或いはそんな休日/AN
次第に体にかかる負荷がリアルさを増し、惜しみつつイメージを途切らせてうっすらと目を開けると。
「まぁくん、おきてー」
腹の上に跨って、顔を覗き込みながら優太が上から問いかけてくる。
…おきて?
ふいに視線を優太より奥の壁掛け時計に向け、ぼんやり焦点を合わせてみた。
なんだ、まだ9時40分じゃん…。
…ん?あれ?
薄暗い部屋へと布越しに惜しみなく注がれる眩しい光は、間違いなく朝であるという現状を突きつけている。
そして、ここは収録後の楽屋なんかじゃなく他でもない住み慣れた我が家で。
あ、起きなきゃな…
今日は三人で…。
のそのそと上半身を起こし、未だ馬乗りのままの優太をぼんやり霞む視界の中見つめる。
袖を引っ張られながら、ついさっき見た夢を思い出す。
そう、昨日楽屋で今日のプランがトントン拍子で決まったんだった。
夢にまで見るって、俺相当楽しみにしてんのかな…
自然に上がる頬を両手で押さえ含み笑いながらゆっくりとベッドから身を剥がし、光を遮るカーテンを開けて大きく伸びをした。
視界に広がる青空は、まさしく絶好の遊園地日和。
さんさんと降り注ぐ陽光に目を細めながら、振り返って口を開く。
「優太、そろそろ準備しなきゃ。
11時でしょ、待ち合わせ」
「え?じゅうじだよ?」
「え?」
「しょうちゃん、じゅうじってゆってた」
「……」
ー昨日の楽屋にてー
翔ちゃん「よし、じゃあ俺がプランニングしてやるから」
俺「えー、翔ちゃん鬼スケジュールだもんなぁ」
翔ちゃん「帰りも考えたらやっぱ10時スタートだよな。それからアトラクションとか乗って昼飯が12時半で…」
にの「や、もうあとはこっちでやりますから!」
翔ちゃん「あ…そう?じゃあ明日は10時集合でよろしく!」
にの「この人来ねぇんだけどな…」
……あーーーー!!