煩悩ラプソディ
第15章 或いはそんな休日/AN
"櫻井翔プレゼンツ"と題された本日のプランだけに、企画者に何の手土産もないのはさすがにマズイだろう。
ついでにリーダーと松潤のも探しとくか。
店内をぐるりと見渡して、一際目立つある一角を見つけると閃いたようにそこへ向かって歩き出す。
ベタだけど…ま、いっか。
果たして彼らにアレを渡した時どんな反応をするだろうと考えつつ足を止めると、既に先客が。
その客は、ご当地キティちゃんコーナーの前で腕を組んでよりどりみどり並ぶストラップを真剣に眺めていた。
「…にの、自分用?」
「んふ、なわけないでしょ。
みんなにさ、どうかと思って」
ふふっと笑いながら左手を伸ばして間近のストラップを手に取る。
「あ、にのも思った?
俺もね、みんなにどうかなって」
隣に並び、ご当地の名物に成り代わった様々なストラップを同じく手に取ってみる。
「今いろんなのあんのね、見てよこれ」
「お、可愛いじゃん。それいんじゃない?」
「あ、見てこれ明太子!」
そう言ってケラケラ笑いながら隣の俺に明太子キティちゃんを差し出してくるにのは、いつにも増してご機嫌な笑顔を俺に向けていて。
いくらメンバーで常に一緒にいる存在だとしても。
それが当たり前になってる今となっては、きっとこういった二人だけの時間も必要なんだろうと思う。
それは仕事上のメンバーとしてではなく。
素の、親友の二宮和也と。
別に今以上にののことを知ろうとか分かろうなんて大それたことは望んでやしない。
ただ微妙なズレを修復するような。
いわばお互いの確認作業。
変化し続ける中で変わらないモノを互いに共有して、ましてやそれを確認していくことなんて困難だから。
いつも一緒にいるにのが今日はやけに近くに感じられるのは、他でもない優太のおかげで。
距離感も何もかもいつもとは違う。
懐かしいようで、新鮮な感覚。
ほんとに優太には感謝しなきゃ…
…ってあれ?
「ねぇ相葉さん見て、バカ殿もある」
「優太って…どこ行ったっけ?」
「…ん?」