煩悩ラプソディ
第15章 或いはそんな休日/AN
そっか、パーカーね…。
約束通り自分で返しに来たってワケか…。
「おはよーっす…え、優太?」
入ってくるなり驚きの声を上げた松潤がサングラスを外しながらこちらを見る。
「じゅんくぅん!」
「おー優太ぁ、遊園地楽しかった?」
「うん!」
ソファに歩み寄ってきた松潤にきらきらした目で答える優太。
すると、程なくしてリーダーと翔ちゃんもそれぞれ楽屋に入ってきて。
同じようなリアクションをするから思わず笑ってしまった。
にのにぴったりくっついた優太を囲むようにソファに集まった俺たち。
「はぁ?相葉くんが迷子ぉ?」
「ふふっ、マジか」
「なに、じゃあにのと優太だけで遊んだってこと?」
驚きの声を上げる翔ちゃんの横で、ヘラッと笑うリーダー。
そして松潤には的確なツッコミをされて。
「信じらんないでしょ?
しかも電話忘れてんのこの人!」
さらに追い打ちをかけるように、にのもわざと大げさな声で俺を指差してそう言う。
みんなの笑い声と総ツッコミを受け、反論も出来ずただただ笑うしかない。
「優太が見つけたのよ、この人のこと。
ねー?優太」
首を傾げて優太を覗き見るにの。
そんなにのにぴったり寄り添った優太が見上げながら口を開いた。
「…まぁくんね、ないてたからね、ゆうたがよしよししてあげたー」
澱みない瞳のその優太の言葉に一同が一気にざわつく。
「ぶはっ!え、なにまぁくん泣いちゃったのー!」
「お〜よしよし、怖かったねえ〜」
「ふははっ、あいばちゃ…」
からかうように頭を撫でる松潤を照れ笑いながら避ける。
「〜っ、だってさ!もうほんっと見つかんないかと思ったの!超心配したんだから!」
「見つかんなかったのは相葉さんでしょうよ」
必死に弁解する俺に間髪入れずに突っ込むにのは、まだまだイジってやるぞと言わんばかりの半笑いをこちらに向けていて。
ぐっ…
なんも言えねぇ…
これ以上何か言っても墓穴を掘るだけだと思い、下唇を噛んでおとなしく松潤に頭を撫でられた。
「…で、今日はどういう…?」
ひとしきり笑った翔ちゃんが、目尻を拭いながら優太とその母親に問いかける。