煩悩ラプソディ
第17章 笑顔に紛れた大怪獣/OAN
「え、お風呂で使えんの!?ほんとに?」
「使える使える。試せば?今日」
「うわぁやってみよっかなあ〜」
きらきらした目で松潤を見るにの。
ぎらぎらした横目で後ろを威嚇する相葉ちゃん。
気付け、にの。
そして早く謝ったほうがいいぞ。
「飽きるまで借りててもいいけど?」
「飽きないよ?俺。え、もらっていいの?」
「ふ、あげねえわ。じゃお先、お疲れ〜」
にのに笑いかけてこっちを見て手を挙げる松潤。
おつかれって俺は返したけど、相葉ちゃんは振り向かずに雑誌を読んだままで。
それが気になった松潤が相葉ちゃんに声をかけようとしたところを、ジイっと見つめて目で語りかけた。
"さわるな、キケン"
読み取ったらしい松潤は、口を結んで察したようにゆっくり頷きながら楽屋を出て行った。
…さて。
残ってるのは、ソファでひたすら雑誌を捲る相葉ちゃんとその向かいでスマホゲームをする俺と。
ソファの後ろのテーブルでDSを始めたにの。
いつも通りの静けさ。
だけど、相葉ちゃんから放たれるオーラが全然違う。
ふいに、相葉ちゃんが片手でスマホを操作しだした。
すぐに俺のゲーム中の画面に、相葉ちゃんからの受信メッセージが浮かぶ。
"そろそろ?"
短いそのメッセージにちらりと相葉ちゃんを見ると、どこか鋭いような目でまっすぐに見つめられた。
あーあ…時間切れだな。
もう知らねえぞ。
立ち上がってにのの側まで歩いていき隣のイスに座る。
にのは鼻をスンとすすってこっちを見ると、また画面に視線を落とした。
「…なに、松潤からイイもん借りてんの?」
「え?あぁ、あれね…」
「気持ちいってどんなふうに気持ちいの?」
テーブルに頬杖をついてにのの横顔を見つめる。
俺の言葉に明らかに動揺してんな。
さっきから目線がちらちら相葉ちゃんの方にいってんだもん。