煩悩ラプソディ
第17章 笑顔に紛れた大怪獣/OAN
「どんなって…なに、」
「教えてよ。知りたい。ねえ教えて?にの」
テーブルに腕を組んでずいっと詰め寄ると、眉をしかめてこっちを見た。
「なによもう、近いな」
「だって知りてぇんだもん。教えてよ」
「もうしつこいなぁ…ねえ、相葉さん助けて」
距離を縮める俺から逃げるように、にのが相葉ちゃんの居るソファへと立ち上がる。
…そっちのがあぶないぞ、にの。
「あのおじさんがしつこいの」
「……」
「…ね、相葉さん」
「…なに?」
雑誌に視線を落としたまま短く答えた相葉ちゃん。
あ、思ったよりヤバそう。
「…え、どしたの」
「…なにが?」
「なにがって…なんか怒ってません?」
窺うような上目で相葉ちゃんを覗き見るにの。
あれ?こいつまさか気付いてねぇのか?
テーブルに頬杖をついたまま二人を眺めてると、相葉ちゃんが頭を上げてゆっくりにのの方を向いた。
「…怒ってますけど?」
「え?なんで?」
「は?お前分かんないの?」
「や…わかんな、」
言い終わる前に相葉ちゃんがにのに覆い被さって、ソファに隠れて見えなくなった。
お、早ぇな相葉ちゃん。
こりゃ相当キテんな。
姿が見えなくなったから聞こえてくる声に耳を傾ける。
「ちょ、なにっ…いてっ!」
「お前さ、今日のアレなんなの?」
「は?アレ?なに?ってか離しっ…」
「風呂だよ。なにあんなん晒してんだよ」
相葉ちゃんのいつになく低い声が聞こえてて、ソファの背面が時々揺れてる。
にの、抵抗したって力じゃ勝てねぇぞ。
「え?や、あれは仕方な…」
「仕方なくない。あんなことしてまた入浴剤貰ったらどうすんの?」
「は?知らなっ…あっ、」
「お前ね、無防備すぎんの。わかんない?」
「やめっ…ぁっ…お、大野さんっ…!」
必死にもがいてるだろうにのからお呼びがかかったから、ソファのほうへ回り込んでみると。