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煩悩ラプソディ

第17章 笑顔に紛れた大怪獣/OAN






「も〜…泣かないでよ」


相葉ちゃんが後ろから宥めるようににのの涙を拭う。


「だってっ、こんなん…ひどいっ、」


にのは俯いて途切れ途切れに言葉を絞り出している。


あー…もうそんな泣かれたら…
たまんねぇな。


こんなにのの姿にさえきゅんとしてしまう俺って…
やっぱ変態なのか。


「にの…」


静かに泣いているにののつむじに呼びかけると、少し肩を揺らしてゆっくり顔を上げた。


乱れて額に張り付いた前髪、下がった眉の下のうるうるした目には涙の膜が張られてて。


泣いて赤くなった鼻頭と頬が、きめ細かな色の白さを強調してて…


きゅっと尖らせた唇を最後に見たら、そこに吸いつかれるように顔を近づけてた。


「んっ、んん…!」


相葉ちゃんに押さえつけるように覆い被さって、にのの唇を夢中で貪った。


舌を絡ませると逃げるように引っ込めようとするから、しつこく追い回してやる。
そうしていると唾液が混ざり合って口の端から伝ってきた。


俺の唇から振り切るように顔を背けたにの。


至近距離で寄越された潤んだ薄茶色の目には、しっかりと俺が映っていて。


…あぁもう、たまんねえ。


顔を傾けてちゅっと音を立ててキスをして、相葉ちゃんを見た。


「んふ…やるねぇ、大ちゃん」


含み笑いを浮かべた相葉ちゃんがにのをチラッと見ながらそう言う。


「…相葉ちゃん、俺こっちがいい」


上体を起こして、にののズボンのベルトに手をかける。


すると、にのがビクッと体を跳ねさせてもがきだした。


「はっ?やっ、やだっ…!」

「こらにのっ、いや大ちゃんいいの?」


体を捩って逃げようとするにのを押さえながら、相葉ちゃんがきょとんとした顔で問いかけてくる。


うん、いい。


だって…
もっとコイツの気持ちいい顔が見たくなったから。

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