煩悩ラプソディ
第24章 半径3mの幸福論/SA
「はぁっ、しょ…ちゃ、んんっ!」
ちゅっと首筋に吸い付いた時、また水面下でお互いの自身が揺れながら触れ合って。
微かな刺激にも反応してしまう程、俺達の興奮は留まる事を知らず更に高まっていく。
男同士なんて、初めてだから。
何が気持ち良いとか、やり方とか、そんなの分からないけど。
ただ、今は…
目の前で俺だけに熱を上げている、この愛しい雅紀に溺れたい。
余裕なんてない。
ガキみたいに、がむしゃらに。
ただただこの想いをぶつけることしか、今の俺にはできそうにない。
「はっ…雅紀っ、触っても…いい?」
至近距離にある頬に唇を添え、吐息混じりに投げかけると。
ぴくっと震えてから、こくこくと頷いた。
俺も雅紀も随分長くお湯に浸かってるせいか、体が燃えるように熱くて。
内から湧き上がる熱と、滾るように感じる温泉とが異常な昂りを生み出す。
これ以上浸かっていたら、本当に逆上せてしまいそう。
そう思って、熱に浮かされたような雅紀の腕をくいっと引っ張ると、一緒に立ち上がった。
戸惑う雅紀を檜の淵に腰掛けさせ、その後ろから抱き込むように俺も腰を下ろす。
幸い、人が座れる程度の幅があった淵には、時折ゆらりと湧泉が溢れてきて。
左足だけお湯に浸かるような格好になり、湯冷ましには丁度良かった。
「えっ…翔ちゃ…」
焦りながら後ろを振り返る雅紀を、ぎゅっと抱き締める。
上がったばかりの俺達の体からは湯気が立ち昇り、雅紀に触れている部分全てから熱が伝わって。
繊細に見えて実は男らしい体のラインも、こうして抱き締めることで改めて体感する。
「ぁっ、翔ちゃん…」
「ん…?」
「あ、当たってる…」
遠慮がちに零したその雅紀の腰に、硬くなった俺自身がぴったりと当たっていて。
それはもう、仕方ない。
こんな雅紀を前にして、今更興奮が治まるはずはないんだから。
「ん…イヤ?」
「っ、ううん…イヤじゃないけど…」
「…けど?」
「恥ずかしい…よね、」
語尾が小さ過ぎて、消え入りそうだけど。
後ろからだから、どんな顔してるかも分からないけど。
でも、間違いなく雅紀も興奮してるはず。
密着した体から伝わる熱と、尋常じゃない胸の鼓動がそれを証明していた。