煩悩ラプソディ
第24章 半径3mの幸福論/SA
綺麗なうなじにちゅっと口付ける。
「んっ…」
雅紀のうなじは、前から好きだった。
触れたことなんてなかったけど、今はこんなにも近くにあって。
耳に、首筋に、肩に。
もう一度ちゅっと何度も口付けながら、そっと下腹部に手を伸ばしてみた。
「あっ…!」
先端に触れた途端、小さく揺れる肩と上擦った声。
思わず口を覆った雅紀に、じんわり愛しさが込み上げる。
「…大丈夫?触るよ?」
「…ん、」
多分、雅紀は男に触られるのは初めてだよな。
俺だって勿論初めてだし、自分以外の男のモノを触るなんて考えられない。
けど…雅紀なら。
雅紀のなら、全く抵抗がない。
むしろ、気持ち良くしてやりたいっていう感覚にすらなっていて。
無条件に愛情を与えたいという、本能的な部分にどこか似ている様な気もする。
そっと触れようとすると、雅紀の細い腰に中途半端に巻きついたタオルがどうにももどかしくて。
押し上げていたそれを取り払えば、外気に触れた雅紀自身が小さく震えた。
ゆっくりと握り込んで、先端に指を這わせると。
「あっ…はぁっ、」
人差し指にぬるっとした感触を覚え、同時に俺自身もどくんと反応して。
きゅっと肩を縮こませた雅紀が、震えながらはぁっと息を吐いた。
じわりと溢れてくる透明な密が、だんだん滑りを良くしていく。
自分以外のモノに初めて触れて。
そして俺の手によって硬さを増してゆくその感覚に、言いようのない興奮を煽られる。
雅紀の横顔にぴたりと顔をつけながら、お互い熱い息を吐き続け。
目線を下げれば、上下に動かす手に纏わる密と、次第にくちゅくちゅと音を立て始めた雅紀自身が目に入る。
「あっ、はぁっ…しょうちゃ、」
「雅紀っ…気持ちいい…?」
「あっ…んっ、うん…」
項垂れるように顔を伏せた雅紀は、力が入らなくなってきたのか段々と体がずり下がっていた。
脱力した左足が時折ぴくっと反応して動き、水面を波立たせる。
…男も、ここって気持ち良いのかな…?
何気なくそう思い、後ろから抱き込んでいた腕を上に移動させて。
右手は絶えることなく動かしつつ、空いている左手をその場所へ探るように導くと。