煩悩ラプソディ
第30章 超完璧溺愛主義/SM
「へぇ~松潤ってそんなに束縛激しいんだ」
向かいでチョコパフェをつつく雅紀の、のんびりした声が耳に届く。
「マジでさぁ…どうしたらいいか分かんねぇんだよ」
項垂れつつ、チーズケーキにフォークを入れて溜息交じりに答えた。
雅紀とたまに行くファミレスで、いつものメニューを注文しうだうだと松潤への愚痴を溢す。
「はっきり言っちゃえばいいじゃん。束縛しないでって」
「いや言ったよ。言ったけどさぁ…」
ぱくぱくとスプーンを運ぶ雅紀を尻目に、ついこの間の松潤との会話が脳裏に蘇った。
『つーかさ…いちいち連絡してくんなよ。
講義終わってスマホ見るのマジで恐怖なんだけど』
『だって心配なんだからしょうがないでしょ。
翔に悪い虫がつかないか気が気じゃないんだから』
『つかねーよ!大体なぁ、ほぼ毎日会ってんだからつかれるヒマねーんだよ!』
『それは分かんないでしょ?俺が見てない時間のほうが今は多いんだから』
『は?見てないってどうゆうことだよ!?
何?俺のこと監視したいワケ!?』
『そうだね』
『即答すんな!んだよそれっ!
バカじゃねーのか!?』
『あははっ、そうかも』
ムキになる俺とは対照的に、楽しそうに笑う松潤の顔が焼き付いて離れない。
「…翔ちゃん、大丈夫?」
『すごい怖い顔してるけど』って怪訝そうに覗き込まれ、我に返る。
「とにかくさぁ…あいつには何言っても無駄な気がすんだよな」
「ん~…でさ、翔ちゃんはどうなの?」
「なにが?」
「そんな松潤が嫌いになったの?」
「はっ?ちげーし!別にそんな…」
「ならいいじゃん。それってさ、大事にされてるってことなんじゃないの?」
ニヤニヤした笑みで雅紀からそう言われ、思わず口を噤む。
そりゃそうかもしんねぇけど…
でも、度が過ぎるにも程があんだろ!?
「俺がにのちゃんに同じことしたら多分嫌われちゃうもん。
でも翔ちゃんはそうじゃないんでしょ?なんだかんだで松潤のこと大好きだもんね」
ニッと笑って最後の一口を食べ終えた雅紀に、何となくうまく丸め込まれた感が否めないけど。
…好きだよ、そりゃ。
けど、全部我慢しろってのか?
あれもこれも全部あいつの愛情表現だって?
もう…
どうすりゃいいかわかんねぇよ!