煩悩ラプソディ
第30章 超完璧溺愛主義/SM
あの後は、まぁ大変だった。
学校という普段なかなか無いシチュエーションに興奮した松潤のスイッチが再び入り、何を思ったかそのまま資料庫でおっぱじめようとして。
必死に抵抗して辺り構わず暴れていると、突然ドアが開いて雅紀が入ってきたからそれはもうびっくりした。
聞けば、二宮先生に事情を話したら『櫻井くん危ないかも』と言われて資料庫に様子を見に来たんだそう。
そしたら案の定襲われかけた俺に物音で気付いて、すぐに助けに入ってくれたってワケ。
雅紀の後ろに隠れて目を覆っていた二宮先生と、指の隙間からこっそり目が合ってしまって途端に恥ずかしくなったっけ。
それはさておき…
講義を終え、恒例となったスマホをチェックすると。
ずらりと並んだ新着メッセージ。
一つずつ開けてみても、どれもわざわざ送ってくるような内容のものじゃない。
そして相変わらずのこの頻度。
いや、もしかしたらちょっとエスカレートしてるかも。
だけど。
『終わったよ。今からサークルの打ち合わせ行ってくる』
そう返信すれば、数分と経たずに既読がつき。
『分かった。くれぐれも周りには気をつけるように。
あと、帰り遅くなりそうだったら迎えに行くから』
そんな文面に、自然と頬が緩むのを最近では自覚している。
分かってなかったのは、俺のほうだったのかな。
松潤の想いにちゃんと向き合えてなかったのは、きっと俺のほう。
だってこれって
"大事にされてる"
ってことなんだろ?雅紀。
そう思えるようになってからは、多少の束縛も気にならなくなったんだ。
なんだかんだで…
好きなんだ、やっぱり。
サークル仲間に声を掛けられて移動していた最中、ポケットのスマホがまた震えて。
その松潤からのメッセージに、思わず足が止まった。
『翔ごめん、今日職場の飲み会になった』
短い文章を見つめつつ、段々と胸がざらつきだして。
職場、ってことは女の先生も居るよな…?
あいつ…変な色気出さなきゃいいけど…。
『櫻井?』と呼び掛けられて我に返り、慌ててスマホをポケットに押し込んだ。
…他のヤツのことなんか考えたら承知しねぇから。
俺だけ見てろよ、バーカ。
end