煩悩ラプソディ
第31章 未だに勢力まだ拡大中/AON
この部屋は、俺の寝室。
いつもは大抵ここを使うから、リビングに居ないってことはここの可能性が高い。
もしやあいつら…
俺を差し置いてもう1ラウンドかましてんじゃねぇだろうな…
嫌な予感がしつつ、ドアにそーっと耳をつけて中の様子を窺ってみると。
全くの無音。
いや、微かに音が…
寝息…?
慎重にドアレバーを引きながら、またそーっと部屋の中を覗き込む。
目に入ったのは、ベッドライトにぼんやり灯されている二つのこんもりした山。
近付いて見てみると、相葉ちゃんがにのを後ろから抱き込むようにしてぴったりとくっついて寝息を立てていて。
にのの後頭部に顔を埋めた相葉ちゃんと、前に回された相葉ちゃんのロンTの袖を握るにの。
呼吸のタイミングまで同じなのか、規則正しく上下する肩がシンクロしてる。
その余りにも幸せそうな二人の寝顔に、何だか今日一日の俺の行動に段々とやるせなさが募ってきた。
目標通り、初めて二人だけのエッチを見ることができたけど。
確かにネットで見たあいつらと重なる部分もあれば、全然違う一面を知ることもできて。
大体の想像はついてたんだ。
付き合いの長い相葉ちゃんとにののことだから。
けどなんつーか…
うん、あれだ。
俺には、こいつらに付け入る隙なんてないってことが分かった。
やっぱり俺の時とは違う。
俺じゃない。
にのと相葉ちゃんだからいいんだ、これって。
ふふっ…
"にのあいBL"はなかなか面白い世界だな。
ベッドの脇で一人ほくそ笑んでいると、急に小さな呻きを上げて相葉ちゃんが身動いだ。
おわっ、やべっ…!
一歩退いて気配を消せば『ん~…』と言いながらにのをぎゅっと抱き締めて。
それに眉を顰めつつも、無意識に相葉ちゃんの袖に纏わりつくにの。
そして。
「…ん…おおちゃん…へんた、い…」
小さく呟いた相葉ちゃんの衝撃の寝言に、ぐうの音も出なくてその場に固まる俺。
…なんも言えねぇ。
ほんと、何やってんだ俺。
あ。
あぁもう…
これ気持ち悪ぃな…
シャワー浴びてくっか…
スウェットの中のベタついた感触を思い出し、色々洗い流す為にも静かに部屋を出て浴室へ向かった。