煩悩ラプソディ
第5章 愛情注ぐ理由はいらない/ON
ビクビクと体が跳ねて大野さんの手中に白濁を溢した。
パーカーを捲られていたお腹にも点々と跡をつける。
体中の力が一気に抜けてしまって、荒い呼吸を繰り返すしかできない。
頭を預けている大野さんの首元も、短く上下して呼吸の荒さが伝わってくる。
うっすら目を開けると、眉を寄せて呼吸を荒げる大野さんがこちらを見つめていた。
「…にの、すっごい…可愛かった、」
切なげに、でもどこかうっとりしたような表情で俺を見つめて呟いた。
自慰が"可愛い"と言われてもと思ったけど、不思議とイヤじゃなかった。
だって…
本物の大野さんの顔と、声と、その手で。
今までにないくらい、最高に気持ちよかったから。
「にの…大丈夫?起きれる…?」
そのまま余韻に浸っていると、頭の上から大野さんの声がして我に返った。
手には俺が放った白濁が。
「ぁ、ごめんっ!ティッシュ…」
慌てて起き上がり、テレビ横のカラーボックスまで四つ這いしてティッシュを取ろうとしたら。
目の前がぐわんと回った。
今更になってさっきの一気飲みのツケがきたようだ。
思わずその場に止まって目をギュッと瞑る。
…やっばい、クラクラする。