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煩悩ラプソディ

第32章 あいつがライバル/AN






なんだかんだありながらも、無事に完成したカレーを前に三人で手を合わせる。


一口頬張ると、優太に合わせて全体的に小さく切った具と甘いルーが口の中に広がった。


「おいしー!」

「ん、うまい」


元気を取り戻した優太もにこにこでカレーを口に運んでいて、隣のにのにも満面の笑みを向けている。



それにしてもさっきの優太は可愛かったな。


優太だってにのにいいところ見せたいって、小さいながらに男気みたいなもんがあるのかな。


いやそれもだけど、にのにあの場面でいきなり『かっこいい』って言われるなんて思ってもなくて。


単に引き合いに出されただけって分かってるけどさ、それでも嬉しいもんは嬉しいんだから。


こんな小さなことで幸せを感じてるなんて…
俺、どんだけにののこと好きなんだろう。


やばいな。
今日はいつもより気持ちが先走っちゃってる。


朝から一緒に居るこのシチュエーションのせいだって、そう思い込むしかないよな。


シュワシュワと小さく泡が弾けるグラスをぐいっと傾け、頬張ったカレーを流し込む。


…今日はあんまり飲み過ぎないようにしなきゃ。



わぁっと歓声が上がったテレビへ目を向ければ、俺たちの番組で丁度ゲストが登場した場面で。


優太はいつもVS嵐を観てくれているらしく、ご飯を食べながら観たいってリクエストがあったから先週の分を流していた。


俺もまだ観てなかったやつで、きゃいきゃい言いながら観てる優太と一緒に画面を眺めていると。


優太が突拍子もなくこんなことを言いだした。


「ねぇなんでにのちゃんとまぁくんっていつもよこにいるの?」


スプーンを咥えたまま、俺を見上げて不服そうな顔。



えっ?なにが?



「にのちゃんのよこにすわってまぁくんずるいー!」


膨れて言いながらテレビを指差す優太。


そこには、ひな壇の上に隣同士で座る俺たちの姿が。


にのが俺のほうに話し掛けたり、同じタイミングで笑ったりとそんなとこを抜かれてる画だった。



…言われてみればそうだな。


今まであんまり意識してなかったけど。


ワンゲーム終わる度に前室にはけて、戻ってくる時は大体にのが傍に来てるっけ。


だから必然的に隣同士になってたけど…


え、ちょっと待って。


もしかしてにの…

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