煩悩ラプソディ
第33章 お熱いのがお好き/AN
こんなに傍に居て触れてるはずなのに、どうしようもできないこのもどかしさ。
未だ起きた気配のない相葉さんの背中は相変わらずゆっくりと上下している。
布団の中でそっと動いて、後ろから緩く腕を回してみると。
指先に触れる柔らかい感触。
そういえば、俺の枕を抱っこしたままだったのを忘れてた。
…枕じゃなくて俺にしてよ。
すりすりとうなじにおでこを付けながら、自分の枕にヤキモチなんか妬いちゃって。
ぎゅっと密着すれば、さっきより一段と感じる相葉さんの体温と感触。
それと同時に体の奥から湧き上がってくる、熱と疼き。
この行き場のないやるせなさはどうしたもんか。
ふと目線を上げれば、整えられたうなじと形の良い耳が視界に入り。
ごくっと息を飲み込んで、昂りそうな気持ちを抑えつつゆっくりと相葉さんから離れ背を向けた。
…いいよね?
だって寝てんだもん。
寝てる相葉さんが悪いよ。
だってさ、もう俺…
我慢できないんだもん…
密着してた体が離れたことで少しだけ感じる寂しさ。
それを埋めるように、はぁっと息を吐きながらスウェットのゴムに手をかける。
躊躇うことなく滑り込ませた下着の中、自覚もなくいつの間にか育てられていた自身に触れると。
「っ…」
危うく声になりそうな刺激を吐息で逃がす。
親指でそろりと先端に触れれば、ぬるっとした感触がして体に一気に熱が駆け巡った。
すぐ後ろには、安らかに眠る相葉さんが居る。
背後に感じる寝息を聞きながら、目を閉じていつもの相葉さんの声を想像して。
"にの、気持ち良いの?"
"うわすごい…もうこんなんじゃん"
"…ねぇ、どうしてほしい?"
肩を竦め背中を丸めて、脳内に響き渡る相葉さんの声に意識を集中させる。
はぁ…相葉さんっ…
『どうしてほしい?』と聞いておきながら、俺が答える前に勝手に手を動かすのもせっかちな相葉さんの癖。
そんな相葉さんの手を想像して、いつもしてくれるように自身を擦り上げてみる。
「…っ、はぁっ…」
じわっと滲み出てくる先走りを指に絡めつつ、脳内の相葉さんに完全に身を委ね始めていた。