煩悩ラプソディ
第33章 お熱いのがお好き/AN
上下に擦る動きに合わせて自然と揺れる腰。
密着してるにも関わらずもうその動きは止められない。
耳にかかる相葉さんの寝息。
揺れる度に腰に当たる相葉さん自身。
誘導した骨ばった長い指も、まるでいつものように俺の好きな所を動き回って。
…え?
絶頂の波が近付いてきた感覚の中、我に返って意識を自身に戻せば。
重ねてる俺の手は力が抜けていて、完全にその男らしい手指によって追い立てられていた。
なんっ…
「…気持ちいい?」
「っ!」
ぴったりと耳に寄せられた口元から直に届いた、少し掠れた囁き声。
ひゅっと喉が鳴るくらい驚いて、同時にゾクッと身震いがする程その声に刺激され。
「…なに一人でイイコトしてんの?」
「ぁっ…」
「我慢できなかったの…?」
「っ…ぁん…」
わざと耳たぶに当たるように唇を動かされ、ダイレクトに響く相葉さんの低い囁き声に堪らず声が漏れる。
その間も、相葉さんの左手は止まることなく俺を追い立て続けて。
毛布の中から漏れてくるくちゅくちゅというイヤらしい音。
きゅっと肩が縮こまるのに合わせて、相葉さんも後ろからぴったりと密着してきて。
絡ませた左脚で、俺の下半身はがっちりホールドされたまま。
「ぁっ、や…だめっ…」
「ん?イクの?もうイっちゃう?」
「んっ…も、イっく…」
「くふ…いいよ」
また後ろから囁かれた声にゾクッと背筋に電気が走って、相葉さんの手の中であっけなく達してしまった。
はぁはぁと息を吐きながら、背後から伝わる熱と自分自身から発せられている熱で一層頭がぼんやりして。
だけど、それを振り払うように意識を引き戻すと途端に恥ずかしさが襲いかかってくる。
…一人でこんなことしてるなんて。
しかも相葉さんの手を使って。
そしてそれを見つかってしまうなんて…
今更になって死ぬほど恥ずかしいことをしたと後悔が募る。
いくら寂しいからって俺、どうかしてたわ。
相葉さん引いてない?
ねぇ引いてるでしょ…?
相葉さんの反応が怖くて、振り向こうにもそれが出来ずに背を向けたまま固まっていた。