煩悩ラプソディ
第33章 お熱いのがお好き/AN
頭上に両手を纏められたまま、熱い相葉さんの唇を受け止める。
触れ合う素肌の感触も、いちいち中心に反応をもたらして。
捩るように腰を動かせば、そっと離された唇。
口の端に互いの唾液を光らせて、浅く肩を揺らして俺を見下ろすその視線は。
眉根を寄せ余裕無さげに熱を帯びた、俺の大好きな相葉さんの眼差し。
今の役柄とは程遠い、いかにも人間らしく本能のままに俺を求めてくるその姿。
誰も知らない、俺だけの相葉さん。
「…にの、」
「…ん」
「準備しよっか…」
切羽詰まった声でぽつり呟いた言葉に体の奥がぞくっと疼きだす。
解かれた両手からパーカーが抜かれ、膝まで下げていたスウェットも下着と同時に足首からすんなり抜かれ床に落とされる。
躊躇いなく脱ぎさった自分の下着もぽいっと床に捨て、ベッドサイドの棚から当たり前の様にローションを取り出して。
いつもの流れるようなその動作を寝転がったまま眺めていると、ふと動きを止めた相葉さんがこちらを見た。
一瞬の間の後、パチンと蓋を閉めて慎重に左手を運びながら俺の横に寝転ぶ。
「え…なに」
「いや今日はさ…くっついてたいなって」
「は…?」
「こうやって抱っこしてたい」
そう言うと右腕でぐいっと引き寄せられ、そのまま相葉さんの腕枕に寝かされて。
「…脚開いて」
耳元でそう囁かれ、いつもと違う準備の仕方に多少の不安が過ぎる。
おずおずと右脚を上げれば、ぐっと膝を折り曲げられ相葉さんの腰に圧し掛かる体勢になって。
「あ、ちょっと下か…」
ずりっと相葉さんの顔が下に移動したかと思えば、前触れもなく蕾にとろっとした指が宛がわれた。
「ひぁっ…」
「あ、ごめん」
気のないごめんの後、つぷっと押し入ってきた指の感触にまた堪らず声を上げる。
「っ、あっ…ん、」
「あれ?きっつ…シてなかったの?一人で」
「っ、してなっ…」
肌を合わせるのはおよそ二週間ぶり。
その間、俺は一度も一人でシてなかった。
抜くのは何度かしたけど…
コッチのほうはシてない。
『そうなの?』と嬉しそうに目下から見上げられて、その熱い眼差しにもまたどくんと昂りが増す。
…するわけないじゃない。
相葉さんしか要らないんだから俺は。