煩悩ラプソディ
第33章 お熱いのがお好き/AN
虚ろに向けた視線の先、相葉さんの二つの瞳が俺を真っ直ぐに捉える。
「…もっと欲しいの?」
「んっ…」
「んふっ…ほんとどうしたの?」
まるで子どもをあやすかのような声色で問い掛けてくる相葉さん。
けれどその滲み出る優しさとは裏腹に、俺の中の相葉さんは言葉を発する度に質量を増してきて。
だってもう…
こんなんじゃ足んない。
俺には相葉さんが必要なの。
相葉さんに満たされてたいんだ。
俺の体を相葉さんでいっぱいにして。
その優しさと激しさで…
もっともっと、俺の中にあなたを注ぎこんでよ。
「あいばさ…」
小さく名前を呼び、体を捩って無理矢理その唇を奪う。
どう抑えようとしたって、相葉さんを欲してる今日の体には逆らえそうにない。
そんな俺の感情をぶつけるような口付けをも、少しの戸惑いもなくこうして受け止めてくれるから。
「はぁっ、きて…はやくっ…」
「んっ、にのっ…」
一度ずるりと俺の中から出ていった相葉さんは、すぐに覆い被さるように俺を組み敷き。
両膝の裏に差し込んだ手をぐっと持ち上げると、ぐちゅっと滑る音を響かせて再び俺の中へと腰を進めた。
「あぁっ…!おくっ…」
「んっ、に、のっ…!」
がつがつと肌がぶつかる音と、揺さぶられる度に響く繋がっている証拠。
ぴったりと密着した素肌は、お互いの火照りで熱く滾っていて。
その熱すらも惜しくて、逃すまいと首に腕を巻き付けて唇を塞ぐ。
「んんっ、はっ…にのっ…まだ足んないっ?」
「んっ、まだっ…あいばさ…もっとっ、」
「っ、わかったっ…!」
「ぁんっ!あいばさっ…」
ぐっと抉るように突き上げてきた感覚に、奥の方に電気が走ってぎゅっと相葉さんにしがみ付いた。
揺さぶりの中次第に抽送が早さを増し、最果てへの到達を予感させる。
「はっ、も…にのっ、出るっ…」
「んっ、いいよっ…」
「えっ?」
「出してっ…あいばさん、出してっ…!」
「っ、くっ…ぁ、イクっ…!」
その瞬間、どくんと注がれた熱い欲。
1ミリの隙間もないくらい重なったこの全身に、相葉さんの全てが行き渡っていくような感覚がして。
荒い息を吐き快感に歪ませたその顔を見届けて、言い知れない幸福感に満たされたまま意識を手離した。