煩悩ラプソディ
第34章 君の瞳に恋してる/AN
「俺ほんとに…
二宮くんのこと…」
ただのファンとしてだけじゃなくて。
心の底から、二宮くんのこと…
「好き…です…」
そこでだけ聞こえるような小さい声でそう告げると、二宮くんの肩がぴくっと動いた気配がして。
そしてふっと力が緩まったから俺も込めていた腕の力を少し緩めた。
ついに…
ついに伝えてしまった。
俺の渾身の"好き"は、二宮くんに伝わったんだろうか。
俺の"好き"の意味、ちゃんと伝わってる…?
自信を持って思い切り告げてはみたものの、それから何も反応しない二宮くんにたちまち不安が募りだす。
…やっぱりダメだった?
こんなこと言っちゃって…気持ち悪がられた?
この何とも言えない息苦しい時間に耐えられず、そっと二宮くんの体を離した時。
おずおずと上げられたその顔に、一瞬で心拍数が上がった。
散々泣いた後の瞳はまた赤らんでうるうるしてて。
鼻の頭もほっぺたも、耳までも真っ赤に染めて。
堪えるように下唇をきゅっと噛んだまま、ゆらゆらと揺れる瞳で見上げられ。
至近距離でそんな顔されたら、息も出来ないくらい胸が詰まってしまう。
ちょ…やばい…
可愛すぎっ…
「好き、って…」
見つめられたままごくっと唾を飲み込めば、二宮くんの小さな口が動いて。
「それって…どうゆうこと…ですか?」
水分をたっぷり含んだ瞳でそう続けられ、思わずひゅっと喉が痞えた。
じっと窺うようなその眼差しは不安なのか期待なのか。
これは…やっぱり伝わってないの?
それとも分かってての確認なの…?
どちらとも取れる二宮くんの表情が、頭の中を一気に混乱させて。
今までの二宮くんの様子からして、満更でもないんじゃないかって気は確かにしてる。
でもこの真っ直ぐに見つめてくるうるうるの瞳は、一体俺に何を訴えてるんだろう?
急激にバクバクと高鳴りだした心臓は、思考回路までも機能不全にしてしまったみたいで。
あれこれ考えるのを止めた脳ミソは、一番伝わりやすい答えを導きだした。