煩悩ラプソディ
第34章 君の瞳に恋してる/AN
もう一度ごくりと唾を呑み込んで二宮くんを見つめる。
二人の間に言葉はないけど、逸らされない瞳はどこか疎通し合っているような気がして。
ドクドクと波打つ心臓が鼓膜に響き渡り、潤んだ二宮くんの瞳が揺らめいて見える。
そっと距離を詰めれば、ぴくっと動く華奢な肩。
咄嗟に俯いた翳った口元だけに集中して、ゆっくりと顔を傾け。
近付いた距離に二宮くんの香りが鼻を擽って、どくんと体が熱くなる。
その熱に後押しされるまま、俯き気味の小さな唇に下から掬うようにしてそっと口付けた。
うわ…
触れた瞬間広がる柔らかな感触。
男のそれとは思えない程、しっとりと心地良くて。
込み上げる熱に耐えられず一度ゆっくりと離せば、鼻先に掠める小さな吐息。
瞬間、熱いその吐息に一気に熱が湧き上がり、もう一度唇を押し当てた。
「んっ…」
漏れ出た高めの声にも耳を冒されて、堰を切ったように昂りが増してくる。
二宮くん…
やばい…俺っ…
沿うように押し当てているその唇から、二宮くんの全てが感じられるような気がして。
噎せ返るような内からの熱が身体中を駆け巡る。
堪らずに二宮くんの頰を両手で包んで上向かせ、角度を変えて深く口付けた。
弾みで、はらりと舞うように芝生に落ちたキャップ。
「んっ…ん…」
声にならない高めの息遣いが脳内に広がり、何も考えられなくなる。
もう俺…
好きで堪んないっ…
夢中で唇を重ねていると、頰を包んでいた両手にそっと手が触れて。
それに気付いてすぐ、離れていった唇。
けれど次の瞬間には、首元に軽い衝撃と温もりが。
倒れ込むように身体を預けてきた二宮くんは、俺の胸で息を吐きながら小さく肩を上下させていた。
華奢な身体は滾るように熱くて、その熱が直に伝わってたちまち心臓が暴れ回る。
そんな昂りは、ぎゅっと背中に回された二宮くんの腕で押さえ込まれて。
更に首筋に押し付けられた熱い頰で、留めを刺されたように動けなくなった。
「相葉さんっ…」