無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

大きな手の平で頰を包まれ親指で目元を拭われる。


気持ちを伝えられたことと、今こうして優しい眼差しを向けられている事実だけで胸がいっぱいで。


それにさっきから顔が燃えるように熱くて頭もふわふわしてる。


「あのさ…」

「……」

「そんな顔されるとさ…」

「…え、」


頰を撫でられる心地にされるがままでいると、目の前の整った顔の眉間に皺が寄って。


「もう俺…ダメになりそう」

「…え？」


小さく呟いた声が耳に届き切る前に、包まれた頰が上向けられ。


屈みながら傾けた顔が近付いてきて、そっと唇が押し当てられた。


…っ！


けれどすぐに離されたその唇が鼻先で僅かに動き。


「好きだ…二宮」


そう囁かれ再び塞がれた唇から、先輩の想いが伝わってきたような気がした。


突然のキスで心臓が飛び上がったけど。


でもそんな衝動も何もかも痛いほど分かるから。


きっと先輩と俺の想いは紛れもなく同じ。


溢れて溢れて言い様のない愛おしさ。


相葉先輩…


もうほんと…大好き…



次々に込み上げてくる想いにふわふわと身を任せていると、沿うように塞がれていた唇がゆっくりと離された。


熱っぽい瞳に見つめられ体中がかあっと熱くなる。


ぼーっとする思考はまるで夢の中にいるみたい。


ジッと見つめてくる先輩の瞳を見つめ返していると、その瞳に段々と翳りが見え始めて。


不思議に思いその瞳を覗き込めば、すぐさまおでこにペタンと張り付いた手の平。


「っ、あっつ！お前熱あんじゃん！」

「へっ？」


急に慌てた声で顔中をぺたぺた撫でられ、首元にも手の甲が宛てがわれる。


「体冷えたんだろ…もうお前は…」


途端に心配そうな眼差しでそう言われ、それが今までの後輩としての俺に向けられていたものとどこか違うような気がして。


勝手な思考に胸をきゅんとさせていたら、傍らにしゃがむ背中が視界に入り。


「ほら、早く着替えて帰るぞ」


明らかにおんぶのその格好に一瞬躊躇ったけど。


いつもなら軽口を挟む場面だけど。


…もう今日はそういうの要らないか。



そっと先輩の背中に体を預ければ、よいしょと立ち上がっていつもより高くなった視界。


首元にぎゅうっとしがみつくと、足元に色違いの靴紐が重なってまた胸がきゅんとなった。