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煩悩ラプソディ

第37章 刻みだした愛の秒針/AN






いやーヤバい。


マジでどうしよう。


あんな顔ずっとされてたら堪んないんだけど。



後部座席で心地良く揺られながら、思い返すのはにのが俺に向けてくる色んな顔。


突然押し掛けて一方的に恋人宣言をしたあの日から、今までが嘘だったかのようににのの態度は一変した。


いや全体的にはそんなに変わってないんだけど。


なんていうか…
俺を見る眼差しが今までと全然違う。


それはもう痛い程『好き』が伝わってくる熱いもので。


"目は口ほどに物を言う"だっけ?
まさにそんな感じ。


二人で居る時はまだしも、仕事でみんなと居る時にもそんな顔で俺を見てくるからさ。


わざとなのか自覚ないのか知らないけどこっちはマジでヤバいんだって。


バレたらどうしようとかも勿論だけど、俺の理性がちゃんと働くかってことが。


はぁ…もう。


にのが可愛すぎてどうしよう…



「お疲れですね、相葉さん」


無意識に溜め息を吐いていたらしく、マネージャーがミラー越しに窺ってきた。


「ん…いや、大丈夫大丈夫」


軽く笑って返事をし、また座席に深く体を預ける。


仕事で疲れての溜め息じゃなくて、恋人が可愛すぎて困ってる溜め息なんて絶対言えるワケない。


そもそもこんなカタチは誰にも言えないし知られちゃいけないこと。


なのにアイツってばみんなが居る時にあんな顔して…


きっと収録中もだよね?
テレビ観てる人たちに気付かれるっつーの。


そんなことを考えているとまたにのの顔が脳裏に浮かび、自然と頰が緩んでいくのが分かる。


あの日"恋人宣言"をして良かった。


やっぱりにのも同じこと思ってたってのが分かったし。


それに。


素直になっていいよって確かに言ったけどさ、こんなにバンバン直球投げてくるとは思ってなかったから。


二人で居る時間も随分増えたし、だいたいどっちかの家で過ごすようになったこの頃。


そろそろ俺の理性も限界が来てんだ。


にのと…


一歩先に進みたい。


この雰囲気ならいけそうな匂いがプンプンしてる。


いやいけるでしょ、これは。


だってにの俺のこと大好きなんだもん。



「…うしっ!」

「っ、どうしました?」

「あ、ごめん。気合い」



…相葉雅紀、男魅せます!

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