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煩悩ラプソディ

第37章 刻みだした愛の秒針/AN






覆い被さる俺を潤んだ瞳で見上げてくるにの。


この景色を今まで何度イメージしたことか。


ゆっくり、落ち着いて。


にのを怖がらせないようにって心では思ってるけど。


この視界に映る光景に理性なんかすぐにでも手離してしまいそうで。


ジッと見つめてくる瞳は止め処なく揺らいでる。


ダメだって、不安にさせちゃいけないってば。



無意識にシーツに縫い付けていたにのの左手。


その丸っこい指に自分の指を絡ませて繋いで。


"大丈夫だよ"って気持ちを込めてまた顔を近付ければ、繋いだ手にきゅっと力がこもったのが分かった。


ちゅっ、ちゅっと唇や頬にキスを落としながら、左手はにのの髪を撫で続ける。


そうしている内にいつの間にか俺の背中に回っていたにのの右腕。


その仕草で怖がらずに受け入れてくれてるんだと分かり、無性に嬉しさが募って。


「…ぁっ、」


頬から滑らせて首筋に唇を這わせば、ぴくんと体を強張らせて小さな声を上げたにの。


うわ…


思わずパッと顔を上げると、声が出たことが恥ずかしかったのか回していた腕を解いて自分の口を覆いだし。


初めて聞くにのの感じてる声。


ちょっと掠れた高めのその声をもっと聞きたくて。


「っ、あっ…」


耳たぶをかぷっと軽く噛んでみたら、ぶるっと震えながらくぐもった高い声を上げた。



…やっば。


にのってこんなに感度いいの?


さすがに反応まではイメージしてなかったから。


こんな声聞いちゃったらマジで止まんなくなっちゃうかも…



「んっ、あっ…ちょ、」

「……」

「っ…あっ、まっ…」

「……」

「んっ、ちょ……待てって!」


焦る声と同時に首筋に埋めていた肩をいきなりぐいっと押し返された。


真っ赤な顔で首を押さえつつ、顰めた眉の下の潤んだ瞳はゆらゆらと揺れて。


「ちょっと…ぐいぐい来すぎ」

「あ……ごめん、」


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