煩悩ラプソディ
第37章 刻みだした愛の秒針/AN
何の躊躇いもなくまるで女の子にするように優しく触れてくる相葉さん。
俺相手に何やってんのよって内心思いながらも、それに嬉しさを感じてしまってる自分がいることが。
ほんとにどうしようもなく恥ずかしくて、さっき封印したはずの天邪鬼がつい出てきてしまい。
「ごめん…怖かった?」
「っ、ちがっ…」
「ほんと?いいの…?」
繋がれた手にもきゅっと力が入り、見下ろしてくる瞳は心底心配そうな色を従えている。
そんな優しい瞳で真っ直ぐ見つめられたって、ただこくんと頷くしかないんだから。
つーか…
俺なんちゅー声出しちゃってんのよ…
「俺ね…知らなかった」
さっきの自分の声を再生してまた恥ずかしさに襲われていると、近過ぎる口元からぽつりと声が届き。
「にのってさ…ちょー感度良いね」
「っ!」
「首弱いの?あと耳も」
「…あっ!」
急に首筋を撫でられ慌てて口を塞ぐ。
けれど間近の瞳にはじわじわと笑い皺が刻まれていき。
「くふ…恥ずかしいね」
「…うっさい」
「かーわいい、にの」
「っ、うるさ…んっ…!」
楽しそうな相葉さんの声が近付いたと思ったら、また耳たぶをはむっと食べられた。
そのまま舌が耳の穴に入ってきてぞくぞくっと身震いしてしまう。
…って、お前そんなことすんの?
や、ばいって…!
濡れた音と感触が何とも言えなくて顎を反れば、力の入った体が反射的に浮いて。
その時、下の方でふと掠めたもの。
覆い被さった相葉さんの中心がスウェット越しにその硬さをアピールしていて。
当たった感触に『んっ』って小さく声を上げた相葉さんは、口元を耳からずらして至近距離で俺に焦点を合わせた。
「…やばい、興奮してきた」
「っ!んんっ…」
上向いたままで激しく唇を塞がれて。
抱き込まれた頭と繋がれたままの左手。
そして、俺への欲求を存分に示しているような相葉さんの中心が俺のに押し当てられ。
瞬間、相葉さんの纏う気配が変わったのが分かった。
まるでスイッチが入ったような。
それを目の当たりにし、ドクドクと鼓動する心臓とは裏腹に言い知れない予感がゾクゾクと体中を駆け巡る。