煩悩ラプソディ
第37章 刻みだした愛の秒針/AN
っ…!
ゆらゆら揺れる薄茶色の瞳に捕らわれていたら、急に訪れた刺激に息を呑んだ。
目線を下げればにのの手が俺のをゆっくり撫でるように擦り上げていて。
その視覚と触覚にすぐに快感が押し寄せる。
やっば…
にのが俺の触ってる…!
そう思っただけで先端からじわっと密が滲み出てきて。
すぐにそれを指先に纏ったにのの手が更に全体を滑っていく。
「くっ…」
その動きがやけにいやらしく映って、みるみる内に質量を増す俺自身。
そこに寄り添うようににののも揺れていて、ローションを纏わせていた右手をそっと伸ばそうとした時。
「相葉くん…」
小さく名前を呼ばれて目線を上げれば、目を伏せて少し傾けたにのの顔がゆっくりと近付いてきて。
「っ…」
深く重ねられた唇。
首に回された腕にきゅっと力がこもり、同時に俺のを擦り上げる手もスピードを増した。
うっわ…
にのっ…
急に積極的になったにのに驚きを隠せない。
何度も角度を変えながら絶え間なく重ねてくる唇。
ふとした合間に漏れる喘ぎのような高めの息継ぎ。
器用に動き回る可愛らしい手にも翻弄されて。
「はっ、にのっ…」
「んっ…ぁ、」
堪らなくなって、時折腹に触れてその存在をアピールしているにのの自身に手を伸ばした。
「あぁっ!…はっ、んぁ…」
頬を上気させて見下ろしてくる潤んだ瞳。
その見たことのない強烈な色気を纏った表情に一気に迫り上がってくる熱。
後頭部を引き寄せて下から唇を奪うと、応えるように舌を絡ませてきて。
ぎゅっと抱き寄せられる首元から伝わるにのの体温が更に俺の興奮を煽るから。
深く唇を重ねたまま、触り心地の良い背中に腕を回してゆっくり前に倒れた。
そっと唇を離し、枕に沈んだにのを見下ろす。
未だ右腕を俺の首に掛けたまま、逸らすことなく見つめ返してくる熱っぽい瞳。
言葉なんか要らなかった。
俺たちの纏う空気はもう完全に変わっていたから。
はぁっと息を一つ吐き、傍らに準備していたゴムを手早く着けて。
期待に満ちたそれにローションを纏わせ。
腰を高くする為にバスタオルを下に敷いたら。
ここまで完璧に終えた準備。
あとはもう…
目の前のにのと向き合うだけ。