煩悩ラプソディ
第37章 刻みだした愛の秒針/AN
ゆっくりと体を傾け再び落とされたキス。
深くしっとりと合わさった後、離れた顔は至近距離で止まり。
ふっと緩まったその瞳から俺への最大限の優しさが伝わった。
…大丈夫だから。
きて…相葉くん。
視線でそう告げれば、ぐいっと膝を曲げられて。
少し高くなったその部分が相葉さんの前に晒される。
そして、ふぅっ…と息を吐いた気配と共にぬるっとした感触が入口を撫でた。
今まで散々慣らしてくれた相葉さんの指と同じ感触。
そう自分に言い聞かせてふっと息を抜いたその瞬間。
っ…!?
ぐぐっと圧し入ってきた心地に思わず力が入ってしまって。
うっそ…
こんなのっ…
「くっ…」
途端に聞こえた苦しそうな息。
さっきの指とは遥かに質量が違うし、何しろこのとんでもない圧迫感と異物感に。
力を抜こうとするけど全然出来なくて、ついには我慢していた息も持たなくなって。
「はぁっ、あっ、んっ…」
堪らず吐き出した声に、辛うじて先端だけ埋まったそれが内側でくっと動いたような気がした。
「ひっ…」
「っ、あっ…ごめ、」
「んん…だいじょぶ、ごめん…」
首を持ち上げてみれば、現れた瞳はさっきまでの色気が半減した心配そうな色をしている。
だめだ、また…
ごめんなんて言い合ってたらいつまで経っても進みやしない。
もう俺は…俺はね。
あなたに全部委ねるから。
だからさ、お願い…
絶対止めたりしないで。
「ね…そのまま…」
「……え、」
「ゆっくり息するから…そのままきて…」
背中を丸めて首を持ち上げ、躊躇って動かない相葉さんを見上げて告げる。
「…にの、」
「きて…ね、相葉くん…」
そのまま瞳を逸らさないでいると、意志を固めたように綺麗な喉仏がごくりと動いた。
そして再び膝を抱え直されれば、先だけ埋まった後ろにきゅっと力が入る。
意識して力を抜き、鼻からすうっと息を吸って。
目を合わせながらゆっくりと息を吐いた。
そんな俺からひと時も目を離すことなく。
吐く息に合わせて少しずつ押し進めてくるその心地が。
違和感しかない筈なのに、同時に相葉さんの全てを受け入れているようなそんな感覚に。
体の奥から熱いものが込み上げてくるのが分かった。