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煩悩ラプソディ

第38章 ハートはメトロノーム/SM






肩を揺さぶられて強制的に大野くんから引き剥がされた小さな体は、小刻みに震えたままで。


俯いた顔は泣いているのか、押し黙ったままで上手く読み取れない。


一体何が起きてんの?


なんで大野くんと二宮くんが一緒に…


そんな疑問がぐるぐると脳裏を駆け巡る中、二宮くんがふらりと傍のテーブルに寄り掛かった。


そこに置かれた数枚の紙を取り、静かに相葉くんの前に掲げて。


「…これどういうこと?」


やっと上げたその顔は案の定泣いて真っ赤に染まり。


それよりも驚いたのは、とても二宮くんから発せられたとは思えないほど低い声が出ていたこと。


「っ!えっ、これ…」


相葉くんがその紙を見た途端、目を見開いて俺に振り向いた。


…えっ、なに!?


「っ…なんだよこれ!」


急いで駆け寄って掲げられた紙を見ると、そこに写っていたのは。


俺と相葉くんが女の子二人と仲良さげに歩いている姿。


学校帰りか、俺らも女の子たちも制服姿で。


しかもアングルからして完全に隠し撮りって感じの。



「…なにこれデート中?」

「いやっ、違っ!えっなんでこれ、どこからっ」

「違うってなに?なにが違うか説明してよ!」

「いやだからっ、これは…ねぇ松潤!」


目を真っ赤にさせて詰め寄る二宮くんに気圧され、縋るような目でこっちに振られたけど。


この写真のことは色々とめんどくさいことが重なってしまった結果なんだ。


うちの生徒会の後輩が相葉くんを好きで、どうしても相葉くんと接点を持ちたいって言うから。


そのことを相葉くんに話したら勿論、断ってって言われたんだけど。


その後輩があんまりしつこく言ってくるのがめんどくさくて。
相葉くんから"松潤も一緒なら"と提案され、二人して渋々引き受けることになり。


ただの一度っきり、放課後にお茶したこの時をバッチリ撮られてしまったみたいで。



「ちょっと松潤説明して!俺よく分かってないんだってこれ!」

「あ、いやだからこれは、」

「ねぇもしかして潤くんが誘ったの?」

「えっ?」

「潤くんが好きな子とデートしたかったからまーくんのこと利用したの?」

「…はっ!?」

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