煩悩ラプソディ
第40章 寝ても覚めても首ったけ/AN
「明日も早いのよ…」
「うん」
「うんって…」
「ヤなの?」
上体を起こして顔を覗き込みながら問い掛ければ。
ゆらゆらと瞳を揺らして"察しろよ"って眼差しで見上げてくるけど。
にのもいい加減素直になれよ。
そんな素振り見せたって結局はさ。
「ヤなの?ならちゃんと嫌な顔しないと俺分かんない」
「……やだ」
「くふ…全然嫌って顔じゃねーじゃん」
むしろ誘ってない?その顔。
ふいにもぞもぞと腕の中で反転して向き合った瞳。
ジッと見つめればビー玉みたいにつるりと潤んで輝く。
前髪の隙間から見え隠れする色は完全に俺と同じで。
「やーだよ…」
上目で擦り寄って来ながら甘ったるい声で囁く唇が、言い終えて緩く弧を描いた。
それを見て鼻から笑い声を漏らしつつ、誘うように薄く開いた唇に自分のを重ねる。
さっきも感じた感触。
やたらしっくりくるような気がするのはきっと。
今日はにのの方が俺を求めているから。
このキスの応え方で分かっちゃった。
お前だって相当我慢してたんだろ。
いいよ、今日はとことん甘やかしてあげる。
「…ん」
わざと軽く当てるだけに留めていたら鼻に抜けるような甘い声を出し始めたから。
それが言わずと知れたスタートの合図。
「ぅんっ…ぁ、」
追い立てるみたいに深いキスに変えたら、俺のスイッチが入ったんだって嬉しくなっちゃうんだろ。
完全な受け身に成り変わって懸命に俺を受け止めるにのが愛おしくて堪んない。
申し訳程度に纏っていたタオルケットを引っぺがし。
キスは止めずに背中にするりと手を差し込めば。
「ぁっ、ん…」
ぴくんと背中を弓なりに反らせて可愛い反応。
やっぱりにのの肌ってすべすべ。
なんでこんな気持ちいいんだろ。
さわさわと背中や脇腹を弄りながらも止まない水音。
口内の艶めかしい感触を更に確かなものにする抜群のその効果音で、下半身には熱いくらいの血が滾っていて。
ぴくぴくと反応しつつ俺の頬に手を添えてそれに応え続けるにのだって。
早く核心に触れてって言ってるみたいに体を摺り寄せてくるんだから。