煩悩ラプソディ
第41章 積み重なる真夏のsuccess/SM
恋愛の対象が同性だと気付いたのはもう随分前のこと。
新しい何かに出会えそうだと期待を抱いて入ったこの大学で、たまたま仲良くなったのがニノで。
そして驚いたのが、偶然にもニノと俺の性的指向が一致していたということだった。
すぐに意気投合した俺たちは互いのパートナー探しにタッグを組むようになり。
本来これほどまでに気の合う同士ならパートナーとしては申し分ない筈なんだけど。
残念ながら互いに全くタイプではなかったから、これまで何度もパートナーを見つける為に合コンやらを重ねてきた。
それに俺もニノも理想のタイプのハードルが高めなもんだからお互い連敗続きで。
ニノなんか"もう諦める"なんて弱音吐いてたくせに。
ついこないだの合コンに居た一番のイケメンくんとあっさり付き合っちゃってんじゃん。
"相葉くんは無理だと思う。俺なんか興味ないって感じだったもん"
って二人だけの反省会で寂しそうに言ってたのはどこのどいつだよ!
「ねぇ君…櫻井くんだったよね?」
首を伸ばして背後をなんとか窺おうとしていると、ふいに相葉くんが遠慮がちに口を開いた。
「申し訳ないけど…俺とにのが付き合うことを櫻井くんにとやかく言われる筋合いないよ」
「ぐっ…」
「俺もやっと出会えたんだ…もう誰にも邪魔させない」
そう告げる相葉くんの瞳は真っ直ぐに俺に向けられて。
相葉くんも俺やニノと同じ境遇で歩んできたのは痛いほど分かる。
それにこんなことで噛み付く俺の方がお門違いっつーのも百も承知。
けど…けどさぁ…
ニノに先越されたら俺はどうすんだよぉ!
カクンと首を折って深い溜息を吐く。
もういいわ…
まだ始まってもないけど俺の夏はもう終わりだ…
「ごめん…そうだよな。悪いことしたよ、ほんとごめんニノ…」
ゆっくりと顔を上げながらそう呟けば、相葉くんの肩越しにおずおずと顔を覗かせるニノと目が合う。
「良かったな、ニノ。こんな俺だけど友達でいてくれよな…」
「翔ちゃ…」
「じゃあな…お幸せにっ、」
「待った!」
せめて最後くらいカッコ良く立ち去ろうとした腕を思いっきりぐいんと引っ張られ。
驚いて振り返れば窺うように覗き込む丸い瞳が。
「あのさ、一度会ってみてほしい子がいるんだけど…どうかな?」