煩悩ラプソディ
第41章 積み重なる真夏のsuccess/SM
心なしか尖らせた唇がそう発し、そのままジッと見つめられて。
有無を言わさない視線と思いがけない言葉に素直に従うしかなく。
「…じゅ、潤…」
「はい」
小さく呟くと合わさっていた大きな瞳がふっと和らいで細められた。
っ…
アルコールのせいもあって…いやこれは天性のものなのか。
こんなに可愛く笑う男を今まで見たことがない。
さっきからコロコロ変わる表情に心臓が加速してはまたブレーキを掛けての繰り返し。
…ヤバいぞマジで。
頭では言い聞かせてるつもりでも体はいつ暴走しだすか分からない。
いや待てよ。
でも意外と松本くんだってもうその気なんじゃね?
さっきの瞳の色が答えだろきっと。
もうこれは…
もしかしたら直球勝負もアリか…?
グルグルと巡る思考が欲求の方に寄りつつあるのを正当化しようとしている自分がいる。
…イっちゃいます?
またごくりと唾を飲み込んで。
テレビに戻してしまった視線を再び向けてもらおうと名前を呼んだ。
「…ねぇ潤」
「ん?…はい?」
相変わらず緩い笑顔を無防備に晒したまま振り向いた潤に。
無言で距離を詰めてその瞳を見つめた。
空気が変わったことに気付いたのか、緩んでいた口元はやんわりと結ばれて。
姿勢を変えずに見つめ返してくる瞳にはまだ欲の色が消えていないから。
「…いいの?」
窺うようにそう囁けば、言葉の意味を理解した潤の瞳がより色濃く揺らめく。
そして艶のある色っぽい唇が微かに動いて。
「…じゃなきゃ来ないです」
言い終えて長い睫毛が数回瞬きそっと伏せられた。
っ、マジで…
その仕草とセリフに後押しされるがままに。
潤の後ろに片手をついて更に距離を詰め、艶のある唇目がけて顔を傾けた。
広がる柔らかな感触。
実に久し振りのこの感覚に体は予想以上に昂りを増す。
それもそのはず、合わさった瞬間に分かった。
潤とはきっと体の相性も抜群だと。
こんなに全てが理想通りの相手と巡り会えるなんて…
マジで奇跡以外の何者でもねぇ!
「んっ…しょ、さ…」
角度を変えて深く交わしていたキスに酔っていると、息継ぎの合間に俺を呼ぶ細い声が聞こえて。