無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

「…俺ね、あなたの…
大野さんのね、こと考えると、なんか…
苦しいの…心臓が。」

「うん…」

「…けど、考えちゃうの。
頭ん中…あなたのことでいっぱいなの。
…おかしいでしょ？こんなの」

「……」

「…俺ね…あなたのこと…
好きになっちゃったみたい…」



ゆっくりと最後まで言い終えると、握られた両手をひたすらに見つめた。



大野さんは何も言わない。

身動ぎ一つしない。

その沈黙が、すべての現実を突きつけられているような気がした。



…あぁ、やっぱり。

そうだよね。

こんなこと言われても、困るよね。



そう自嘲気味に口元を緩ませた時、ふいに握られた手に力が込められた。



「…ごめ、もっかい言ってくんない？」

「……はい？」



予想だにしない言葉に思わず顔を上げると、そこには顔を真っ赤にして前のめりになる大野さんが。



「最後の…やつ、もっかい言って？」

「え、最後って…」

「俺のこと…なんて？」



この状況が理解できなくて軽いパニックを起こしてしまう。



…この人、なに言ってんの！？



ギュッと手を握って、なおも懇願するような眼差しで俺を見つめている。



「にのは…俺のこと…好きってこと？」

「え！？…や、その、」

「さっきのって…そういうことでしょ？」

「や…ちょ、ちょっと待ってよ、」



矢継ぎ早に飛んでくる言葉に戸惑いしかない。
整理したくて大野さんの言葉を制しようとすると、急に視界が揺れた。