煩悩ラプソディ
第43章 双星プロローグ/AN
校門をくぐり揃って靴箱に入った時、視線の先の見覚えのある顔とバチっと目が合った。
…あ。
マツジュン…!
あれ以来一度も顔を合わせていなかったのに、なんでこんなタイミングで見つかってしまうんだろう。
慌ててふいっと目を逸らしても時すでに遅し。
ずんずんとこちらに向かってくるのが視界の端に映り。
そして俺たちの真ん前まで来てピタッと足を止めた。
「あ、おはよ松潤」
「……」
雅紀が挨拶するのも無視して俺をジッと見下ろす相変わらず不機嫌な顔。
そして蘇るあの台詞。
"無理だと思うよ、あんたじゃ"
…ふん。
どの口が無理だっつったよ。
お前なんかに言われる筋合いねぇんだよっ!
と内心息巻いて睨み付けていると、その唇がそっと動いて。
「…俺はまだ認めねぇから」
と、真っ直ぐ言い残して去っていった後ろ姿に思わずぽかんと口が開いてしまった。
…は?
え、なにどういうこと…?
「…なんだアイツ。ニノお前なんかしたの?」
「……」
「…かずくん、松潤となんかあった?」
隣で心配そうにこちらを窺う雅紀を見上げつつ、動揺で揺れてしまう瞳を自覚せざるを得なくて。
やっとの思いでようやくスタートを切った俺たち。
これからの日々のことを思うと期待で埋め尽くされていた胸の内。
それなのに。
そこに一瞬にして言い知れないざわつきが広がった。
幸せなエピローグを迎える日は、まだまだ遠い…?
to be continued