煩悩ラプソディ
第10章 星に願いを/AN
その日、俺の元に一通のLINEが届いた。
画面に映った文字に少し驚く。
…あ、にのからだ。
にのからLINEなんて珍しいことで。
なんだか妙に嬉しくなって、スマホを手に取った。
『暇だったら俺んちの近くの公園に来て』
用件だけ書かれた、そっけないメッセージ。
そのまま画面をジッと見て時計に目を遣ると、夜中の1時を回っていた。
…どうしたんだろ、こんな時間に。
今日は確か、にのは午前中で仕事を終えているはず。
なんかあったのかな?
夜中の1時という非常識な時間だったが、深く考えることなく足早に指定された公園へと向かった。
「よっ」
公園の隅の、子ども用のブランコにちょこんと座っているにのに声を掛ける。
遠くの俺に気付くと、少し照れたように微笑むにの。
「あ、来たんだ」
…なんだよ、自分が呼び出したくせに。
笑いながら近付いて、ブランコの前で足を止める。
「来ましたよ。てかもし来なかったらどうする気だったの?」
「や、相葉さんは絶対来ると思ったから」
上方から垂れ下がる鎖を掴みながら、にのがへへっと笑った。
そう言われたら返す言葉もなくて、俺もつられてへへっと照れ笑いを浮かべる。
12月に入り、夜はかなり冷え込むようになってきた。
急いで来たから、薄手の長袖の上にコートを羽織っただけだったことに後悔が募る。
別にそんなに急ぐことなかったのになぁ…。
そう心の中で呟きながら肩を竦めると。
そんな俺の仕草に気付いたのか、にのが上目遣いにこちらを見て。