煩悩ラプソディ
第45章 流星エピローグ/AN
"かずくんを食べたい"って言ったのはもちろん俺。
それは紛れもなく本心で。
だからその為に色々な知識は入れてきたつもり。
でもいざとなると、というより…
かずくんは本当に大丈夫なのかってことの確認がまだだったから。
「…ほんとにいいの?」
こんな今更引くに引けない状態になってしまってから言うのなんてズルいかもしれないけど。
でもこれだけは確認しておかないと。
かずくんを傷付けるのだけは絶対にしたくないから。
すると、一呼吸置いて間近の喉仏がごくりと動いた。
そしてこくんと頷いて伏し目がちに逸らされた瞳。
「そんなの…聞かなくていいから」
「…ぇ」
「いいから…一緒だから、俺も…」
語尾が小さくなって消えかかるかずくんの言葉。
赤く染まった頬と潤ませた瞳はそのままに。
「……雅紀と、シたい」
さっきかずくんの瞳から聞こえてきたフレーズと同じものが。
今度ははっきりとかずくんの口から発せられた。
"それに…"と続けて付け加えられたのは。
「俺もお前もこんなじゃん…」
言いながら視線を落とした先に。
跨った間にしっかりと主張する俺のとかずくんのが目に入り。
っ…!
チラリ目線を遣れば恥ずかしそうに口をむにむにさせたまま目を伏せる顔があって。
「かずくんっ!」
「わっ…!」
その表情に一気に唆られて乗っかっていた体をベッドに押し倒した。
シーツからふわりとかずくんの匂いがして堪らなくなる。
見下ろす先の暗く翳った顔はゆらゆらと期待に揺れる瞳が際立って。
その瞳に吸い込まれるように顔を近付ければ静かに落ちる瞼。
唇が合わさった瞬間に開かれた隙間を縫って躊躇うことなく舌を絡める。
「はぁっ、…ぁ、んっ…」
「ん、はっ…」
今までかずくんとはこんなに大人なキスをしたことがなかったけれど。
まるで俺の意図することが分かっているように滑らかに絡まり合う舌が凄く気持ち良くて。
それに。
「ぅん、ぁっ…はぁっ、」
まだキスだけなのにひっきりなしに漏れ出てくるこの甘い声に完全にヤラれてしまってる。