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登校すると案の定近付いてきたニヤリ顔。


「どうだった？昨日」

「……べつに」

「おい別にってこたねぇだろ！あ、ケツ大丈夫か？」

「うっさいな！下品だないちいち！」


コソコソと耳元で囁かれ堪らず肩にツッコミを入れる。


さすがに＂俺だけイって寝てしまった＂なんていくら翔ちゃんにでも言えない。


つーか普通こんなにズケズケと聞いてこないっつの。


「いいじゃん、せっかく晴れてデビュー戦飾ったワケなんだし」

「その言い方やめろや。もうさ、そんな大げさにしないでくれる？」

「はぁ？元はと言えばお前から相談してきたんじゃん。だから俺には最後まで聞く権利がある」


って、腕なんか組んで尤もらしいこと言ってるつもりだろうけどさ。


ただ楽しんでるだけだろ、絶対。


「ま、これでアイツにとやかく言われる筋合いもねぇな」

「アイツ？」

「アイツだよ、マツジュンだろ。もうこの際言ってやれば？俺たち晴れて結ばれましたって」

「っ、んなの言うワケねぇじゃん！」


ケラケラと大きな口を開けて笑う翔ちゃんを見遣り、そういえばまだあのことを言ってなかったと気付いた。


マツジュンが雅紀に告白したって聞いたら翔ちゃん何て言うかな。


意外とマツジュンのこと一番警戒してんの翔ちゃんだもんな。


「それかさ、ほらアイツ。トウマってやつ。マツジュンの保護者の。アイツは使えんじゃねぇの？」

「使えるって？」

「だからさ、トウマに釘刺しときゃいいんじゃね？俺アイツには言ってていいと思うけど」

「なにを」

「ヤったってこと」

「は？何言ってんのバカじゃないの！」


思いっきり怪訝な顔をしたら今度は茶化すことなく真剣な眼差しを向けられ。


「マジで言っといた方がいいって。間違いなくトウマはマツジュンのブレーキだろ。アイツの言うことは多分聞く」


やたら真面目な口調でそう言われると急に気後れしてしまう。


当人より俺たちのことを心配してくれている翔ちゃん。


なんだかんだでやっぱり頼りになるっていうか、ありがたい存在なのは確かで。


「よし、そうと決まれば放課後呼び出そうぜ」

「え？」

「宣戦布告だよ。俺の雅紀に今後一切手出すんじゃねえぞって言ってやんだよ」

「…は？」