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半ば強制的に決まってしまったその宣戦布告は。


先輩が後輩を放課後の裏庭に呼び出すっていう何ともマンガチックな展開に。


しかもトウマだけ。
こっちは二人なのに年下を一人で来させるってどうなのよ。


「アイツおっせえなぁ。何分待たせんだよ」


チッと舌打ちをしつつイラつきを隠さない翔ちゃん。


なんで俺よりやる気になってんのよ。
おかしいでしょーよ。


今日はバイトの日だから時間限られてるんだけど。


「もう来ないんじゃない？そりゃヤダよ、３年に呼び出されるとか」

「いやアイツは絶対来る。つーか来なかったらただじゃおかねぇ」


トウマに放課後来るように話に行ったのは翔ちゃん。


多分今みたいに鬼のような顔で言ったに違いない。


もうさ、そんなの来るワケないじゃない。
俺だったら絶対逃げるもん。


「…ねぇ俺バイトあるし、」

「あっ、来た！」


＂帰ってもいい？＂と言おうとした矢先、タイミング悪くトウマが現れた。


俺たちを見つけると全力ダッシュで向かってきて。


「すみませんっ！潤撒くのに時間かかっちゃって！」

「なんだよアイツのせいかよ。まぁいいや、そのジュンのことで話があんの」


乱れた息を整えながらも翔ちゃんと俺の顔を交互に窺う瞳。


「あのさ、ハッキリ言うけど。コイツと雅紀はもう完全に付き合ってんだよ。知ってんだろ？」

「あ…はい」

「んで、マツジュンは雅紀のこと好きだか嫌いだか知らねぇけど。もうさ、とりあえずコイツらの邪魔しないでやってくんない？」

「ぁ…」


一息に翔ちゃんが告げるとトウマは気まずそうに目を逸らした。


その場に流れる沈黙。


無言でトウマを睨む翔ちゃんと、痛いほど視線が刺さって居た堪れないトウマ。


そしてただ居るだけの当事者の俺。


なんか今更ながらこの状況って俺にとってマイナスじゃない？って思いだして。


だってこんなこと全部友達に代弁してもらうのって恥ずかしくない？


しかも後輩相手に。


しかも当の本人じゃなくてその友達に。


「お前トウマっつったっけ」

「あ、はい…」

「トウマからもアイツに言ってやってくれよ。もう雅紀には関わらない方がいいって」