煩悩ラプソディ
第45章 流星エピローグ/AN
触れたと同時にびくんと反応した手の中の雅紀。
そして耐えるように眉間に皺を寄せて目を瞑る整った顔が視界いっぱいに広がる。
「くっ…あっ、かずく…」
するすると手の平を動かせば先走りの滑ついた感触が更に潤滑さを増長させて。
真上で身悶える紅潮した雅紀の顔を見ていると、段々と心臓がずくずくと震えだした。
普段の太陽みたいな笑顔はすっかり身を隠し、快感を逃がそうと必死なその切なげな表情。
「…雅紀、いい?」
「ンっ…やば、きもちい…」
窺うように問い掛けたらうっすら目を開けて答えた瞳に。
触られてもいないのにどくどくと興奮の熱が駆け巡り。
雅紀の苦悶の表情がやけに男らしく映って、俺だって同じ男なのに物凄く煽られる。
顔横についたしなやかな左腕がふるふると震えだした。
ローションを付けたワケでもないのに、動かす左手からはくちゅくちゅと水音が響いて。
「雅紀…」
「ん…、はぁっ…」
「キスしよ…」
上下に動かす手は止めずに目の前の首元をくいっと手繰り寄せ。
漏れ出る熱い吐息ごと下からその唇を迎え入れた。
「んふっ…ンっ、」
「ンっ、ね…まさき、きもちい…?」
「ふぁっ、はぁ…も、やばっ、い…」
「イキそ…?」
キスの合間の問い掛けにも途切れ途切れに答えるのがやっとな様子。
眉を下げて切なく濡れた瞳を見上げつつ、左手を動かすスピードを上げた。
「くっ…あっ、かずくんっ…」
「ん、いいよっ…イって…」
「うっ、あぁっイクっ…!」
快感により一層歪ませた顔から目が離せなくて。
手の中で爆ぜた雅紀の熱が指を伝うのが分かる。
はぁはぁと熱い吐息を漏らす火照った顔が脱力して覆い被さってきた。
どくんどくんと波打つ心臓。
左手には濡れた滑らかな感触と。
今まさに重なったことで雅紀と触れ合っている俺のモノが。
最大級に興奮してすっかり勃ち上がっていて。
油断したら俺までイっちゃいそうなほど。
初めて見た雅紀のイク時の顔が妙に男らしくて色っぽすぎて。
や…ば、かったぁ…
あんな顔するんだ、雅紀って…
ぎゅっと心臓を鷲掴みにされたと同時に、俺の手で気持ち良くなってくれたっていう高揚感が募り。
未だ静かに肩で息をしている火照った背中をそっと撫でたら。