煩悩ラプソディ
第45章 流星エピローグ/AN
もぞりと動いた背中が次の瞬間がばっと起き上がって。
「ちょ~…気持ち良かったぁ…」
さっきとは一変して爽やかな笑顔で見下ろしてきて、ちゅっと軽いキスを落とされた。
イったからかやたらスッキリした顔はにやにやが止まらないみたいで。
「いやマジでかずくんの手サイコー。めちゃくちゃ良かった!」
「あ、そぅ…」
「しかも"キスしよ"ってやつヤバかったぁ!」
「っ…」
余韻を楽しむように感想を言いだす雅紀に恥ずかしさが募る。
あのね…そういうのはいちいち言うもんじゃねーのよ!
つーかこっちだってどんだけお前に煽られたか分かってんのかよ!
って言いたいことは色々あるけど、目の前でにやにやへらへらと笑う雅紀を見ているとそれも無駄な気がしてくる。
それに。
…勝手にこんなんなってんのも恥ずいじゃんか。
雅紀の下で完全に上向いた俺自身を今すぐにでも隠してしまいたい気分。
でもそう思っている時に限ってバレてしまうのが俺らしいシナリオというか。
「…あ、かずくんもコーフンしちゃった?」
「っ、うっさぃ…」
「くふふ…じゃあさ、一緒に気持ち良くなろっか」
優しく微笑まれてどきんと胸が高鳴った。
べたべたの左手はサッとティッシュで拭き取られ、また元の様に組み敷かれる。
ここから見上げる景色にはだいぶ慣れたつもりだけど、こうして見つめられるとやっぱり体はずくずくと落ち着かない。
確かめるように唇や頬や首筋に落とされる唇。
感じると分かっている胸への愛撫も同時進行で。
「ぁっ…ん、」
「…かわいい、かずくん」
「ンっ、やだっ…」
「もうさ…かずくんに触れたりキスするだけでさ、俺こんなになっちゃうんだよね」
首筋へのキスの合間、耳たぶに唇をくっつけて囁かれた言葉。
更にはぐいっと俺のに押し付けてきた雅紀のモノが。
その言葉通りすっかり硬さを取り戻していた。
そして。
「…もう挿れたい。いい…?」
切羽詰まった低い声が鼓膜を震わせて。
その声色に促されてこくん、と小さく頷けば。
すっと離れていった温もりに、その時が来たんだとごくっと唾を飲み込んだ。