煩悩ラプソディ
第45章 流星エピローグ/AN
ひんやりとしたジェルローションの感触を後ろに。
風呂場では十分に解したと思われるその場所は、雅紀の人差し指を簡単に飲み込んだ。
水圧のない状態では感じ方も違くて。
痛みさえ減ったもののやっぱり異物感というか違和感は拭えない。
「じゃあ…痛かったら言ってね?絶対だよ、かずくん」
「ん…大丈夫」
「大丈夫じゃなくて、我慢しないでよ?」
「わかってるってば」
膝を折り曲げたこんな体勢、俺にとってはするのも見るのもどう考えたって恥ずかしさしかないのに。
念を押すように真剣な瞳で訴えてくる雅紀にはそんな感情は微塵も窺えない。
雅紀の頭の中には俺が痛くないように、っていう思考しかないんだ、きっと。
わかってるよ、雅紀。
でもこれはお前も俺も望んでのことなんだから。
大丈夫なんだよ、絶対。
…お前とだから。
ゴムを着けたそこにたっぷりと纏われたジェル。
焦点を確かめるように一度視線を遣ってからその場所へ宛がわれると、くちゅりと音がした。
無意識に息を吐けばそれに合わせてグッと押し込まれた感触がして。
っ…!
指の大きさとは比じゃないその尖端。
ジェルの滑りをもってしても体は無条件に押し出そうとしてしまって。
「…かずくん、大丈夫?」
「ンっ、いいからっ…」
「でも…辛くない?」
「んん、いいから…ゆっくりきて、」
顔色を窺ってくる不安そうな瞳。
そんな顔してんなってば…
こんな顔、俺がさせちゃダメだっ…
ふぅっと息を吐いて見つめ直すとゆらゆらと揺れる黒目がちな瞳とぶつかって。
膝裏を抱えていた雅紀の手に自分の手を伸ばしぎゅっと握った。
「…大丈夫だから、ね?雅紀…」
「……でも、」
「早く…早く一緒に、気持ち良くなろ…」
ぽつり衝いて出た言葉は小さく消え入りそうだったけれど。
それでも真っ直ぐに雅紀の元へと届いたみたいで。
宛がわれたままだった尖端がくいっと入口を押したから、その動きに合わせてうんと頷いた。
「くっ…ぅ、」
「はぁっ…」
ゆるゆると慎重に押し入ってくる雅紀のも多分窮屈さでいっぱいなハズ。
見上げた先の真剣な眼差しと視線が絡んで、受け入れているソコがジンジンと疼くような感覚になった。